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TikTokマーケティング思考(「IEMAA」の法則)

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自粛期間もあり、最近明らかにTikTokを観る時間が多くなってきました。実際にDAUも世界的に伸びているそうです。去年まで自分は仕事でTikTokアカウント運用を実施しており、サービス内容など結構知っていたつもりでした。しかし、今回改めて観ていると様々な進化が起こっているなと思いました。

そうした時にある映画の宣伝マンとTikTok楽しいですねと話していた際に、「TikTokが人気なのはわかるけど、映画の宣伝とかでどうつかえばいいの?ショートムービーを流せばいいの?」というような質問をいただきました。答えとしては、「なんか違う」と違和感を感じたので、改めてどういう風に考えて使えば良いのか、そして、何を目標とすべきなのかという整理をしたいと思いました。

そして、もはやマーケティングを進めていく上で無視できない存在になり、戦略を立てる際に、「じゃあTikTokはどうする?」という議論がかなりの頻度で出てくるのではないかと思いました。そこで、現代のTikTokを活用したマーケティングについて思うところをまとめてみました。

なお、このまとめは、「TikTokはわかるんだけど、ちょっとしか観た事ないしなー」とか、「なんかTikTokの宣伝ってわからないなー」「TikTokでバズっても売れないよ」と考えている人向けだと思います。バリバリのマーケのプロの方は読まないでくださいw

1 TikTokの現状 (2020.5時点)

2 TikTokを活用した新しいマーケティング活用の仕方(「IEMAA(イエマー)」)

3 最近のマーケティング事例を参考に考える

以上、3構成で記載してます。

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1 TikTokの現状 (2020.5時点)

現在のユーザー数を仮で推定しておきます。

この辺りの記事から察すると、日本の利用者数は2020年1月時点で950万人、コロナの影響で利用者数も爆増中なので、もう1,000万は超えていると思います。10-19歳の人口で1,000万人くらいしか日本にはいないので、仮に10-20代向けコンテンツと仮定すると2人に1人は使っている状況です。本当はもっと年代は広がってますが、とりあえずそんなイメージで良いと思います(DAUはわかりません)。とにかく、みんなやっていると良い状況。

TikTokに関して詳しい情報が知りたい方は、黄未来(こうみく)さん「TikTok 最強のSNSは中国から生まれる」を読んでください。本の良し悪し関係なく、マーケに携わってる人で読んでなかったら恥ずかしいかもしれません。

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ここには、主に中国本国での最新サービス(TikTokではまだ未実装)や今後のサービスの将来像が書いてあります。細かい内容は本に記載されております。

まず、前提として考えていただきたいのは、TikTokは、twitterやYouTube、Instagram、そしてFacebookなどとも全く違うメディアです。twitterやYouTubeなどでは、楽しむということに加え、知的なコンテンツや最新の情報を入手するというようなことを求めてやってくる人もいます。また、Instagramは最近はそれ自体がブランディングツールとなっており、ファンがその人を見にくるという傾向があるのではと思います。しかしながら、TikTokはそれ自体が娯楽です。そして参加型の娯楽です。ユーザーは常に新しい遊び方を探しにきています。

娯楽だけのイメージとして考えると、「今日何やってるかな」と思ってザッピングしながらみる地上波テレビの方がより近いかもしれません。加えて、見る側だけでなく、気軽に参加型にもまわれるというようなテレビフィルターを無くしたようなものかなと思います。

そのために、面白い動画を作って「はいどうぞ」というような広告の概念は通じません。そのままの考え方を応用するのではなく、0ベースで考えていく必要があります。KPIとしての指標としては、どれだけ見られたかという数字よりも、どれだけ参加したかという数字(#ハッシュタグ数)がもっとも大事と思います。

また、UI(User Interface/ユーザーインタフェース)の使用上1つのコンテンツをネタにバズらせるのではなくて、いくつも出してその中の1つが流行ればラッキーくらいに思って展開する必要があると思います。選ぶのはTikTokユーザーであり参加者です。

なお、散々他のSNSと違うと言っておきながら、広告の手法が違うということだけであり、コンテンツ自体は、TikTok = twitter = Instagramなどを巡っていくので、その効果はTikTok内だけにとどまらないことは留意しておきたいです。例えば、今も人気のエアロビチャレンジは、TikTokで流行っていたものを、Twitterで田渡凌が実施し、TikTok、Twitter相互で盛り上がりました。

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2 TikTokを活用した新しいマーケティング活用の仕方

次に、TikTokを戦略的に活用していくためには、共通の言語が必要だなと思いました。みんなそれぞれが主観でTikTokマーケティングを語ってもコンセンサスは取りづらいし、訴求の軸がずれると思います。そこで、昔から知られている「AIDMA(アイドマ)」「AISAS(アイサス)」といったマーケティングのフレームワークなどを参考にしながら、自分でこんなフレームはどうかと思いました。

それは、「IEMAA(イエマー)」という考え方です。まず大きな特徴としては、従来最初に置かれていた「A」(Attention – 商品の存在を認知する)という概念(リーチ思考)を無くしました。具体的には下記のようになります。

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IEMAA(イエマー)とは・・・

「I」=Interest(興味)、「E」=Experience(体験)、「M」= Memory(記憶)、「A」=Attention (認知)、「A」=Action(購入・行動)

「I」=Interest(興味)
新しいコンテンツ/楽しみ方に興味・関心を持つ。この時点ではサービスや商品には直結しません。あくまでもコンテンツそのもののエンタテイメントとしての興味です。

前述で触れたように、ユーザーは新しい遊びを求めてTikTokにきています。そのため、遊び方を提供してあげて興味を掴むのです。ただし、ユーザーは広告に利用されることを嫌うのでいかに広告感を薄くするかが大事な気がします。

※KPIとしては、オリジナルコンテンツのファボ(ハート)数とかになるでしょうか・・。

「E」=Experience(体験)
そのコンテンツに興味を持った人たちが、その楽しみ方をやってみて、その様子を発信したり、周囲(友人やフォロワー)の人たちがやっているのを見ていきます。

※KPIとしては、ハッシュタグ数?ここが一番大事だと思います。どれだけの人がそれを体験したのか。あとは、TOP動画の再生数とか・・。

「M」= Memory(記憶)
なんども観たり体験したりしていくことにより、楽しい記憶が強化され、定着していく。加えて、映像だけでなく、その時に使われた音楽や言葉などを覚えていくことも意味する。

ここにはTikTokのUI仕様である時間の投稿概念に囚われないということがあります。twitterやYouTubeだと一度タイムラインで流れ見落としてしまえば、自動的に見つけたりすることはなかなか難しいですが、TikTokでは人気動画であれば、それが1ヶ月前のコンテンツであろうがリコメンドとして出てくる仕様になっております。

※そのため、フリークエンシーが高まるので記憶に残りやすくなるのです。KPIとしては、ハッシュタグが投稿された期間と数量などをベースにすると良いのかなと思いました。

「A」=Attention (認知)
商品の存在を認知する。消費者は、今までの記憶と照らし合わせ、これは「あの時のコンテンツ!」ということで認知し出します。これは一部、「S」(Search)から流入することもあるかもしレません。なお、この時すでに消費者は、その商品やブランドに興味関心を持っている状態であり、ロイヤルカスタマーに近い状況と推測できます。

※人気コンテンツになると、twitterやInstagramのストーリーなどでも同様のコンテンツをみたり、音楽はSpotifyで再生数が増えたりとしていくので、そこで初めてサービス情報を提供していくのが良いかと思います。すでに好意を持っている状態なので、訴求しやすいです。

「A」=Action(購入・行動)
そうして、あの時に体験したサービス、ということで愛着を持ったカスタマー達は実際にその商品を購入したり、サービスを有料消費したりするようになる。

以上のことから、宣伝を時系列的に考えると、TikTokは初手のマーケティング手法(土壌づくり)としてとても有効な手段であると言えます。いかに面白くさせてメモリーに残していくかが大事なのかなと思います。

また、よく最初はインフルエンサーにやってという手法を否定するわけではないですが、有名なTikTokerやインフルエンサーなど数多いるので、知名度よりもそのエンタメコンテンツをもっとも面白く消化する人を選んで実施するのが良さそうです。

そして、最初に述べた「TikTokそれ自体が売上と比例するのか」という答えとしては、TikTok自体は売上に直結しづらいと思います。ただし、メモリーを大きく残した時でのその他広告の効果はかなり高いものになると思います。

3 最近のマーケティング事例を参考に考える

最後に、最近自分が触れた事例をベースにしながら考えたいと思います。

例えば、直近で流行った「日清旅するエスニック」シリーズで配信された動画「匂わせエスニック」はとても面白かったです(インタビュー記事はここ)。とても好きで、なんども見ました。

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https://www.youtube.com/watch?v=h2pihBJPDgM

しかし、実際に購入しようと、どこまでの消費者が思うかはわからないです(僕も買ってません・・すみません)。例えば、こうしたプロモーションに加え、さらに、視聴者が気軽の楽しめる「匂わせチャレンジ」を初期or同時段階で、TikTok展開も行えば、もっと流行って盛り上がったのではないかなと思います(なお、これはtwitterキャンペーンではなく、あくまでも匂わせエフェクトのようなツールとして配布していくイメージです)。

最近のエフェクトで類似なものをあげるとこの「#分身シャッター」でしょうか。この方がわかりやすかった→ https://vt.tiktok.com/kogYru/ ここに匂わせポイントみたいな解説エフェクト使ったりすれば面白いかも。

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過去のプロモーション事例も紹介しておきます。

① 有名なのは、ポッキーかなと思います。相性もすごい良いですよね。まずはこれをおさえておきたいです。

Pocky x TikTok #ポッキー花火大会チャレンジ

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これは2018年11月に実施されたキャンペーンですが、advertimesの記事によると、

'''江崎グリコは11月11日の『ポッキー&プリッツの日』に合わせTikTok動画を募集するキャンペーンを実施。期間は11月6日~10日で、オリジナル楽曲を活用した2万3600本以上の動画が投稿され(11月11日時点)、「#ポッキー何本分体操」とタグ付けされた動画の累計再生回数は2730万回を超えた。''' 

とのことです。2018年の例ですが、この時点で2万3600本も投稿されているといういうことは、2020年ではかなり大きな数値になると思います。

②そうして、映像では、AbemaTVの「今日、好きになりました」という恋愛リアリティーショーです。#今日好き も触れなければなりません。このTikTok施策をすることにより、AbemaTVの視聴者数が1.5倍になったと言われています。

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https://www.youtube.com/watch?v=BcVGwvgzLpg

2018年に行われた施策で、当時はTwitterや、Instagramで流行らせてからTikTokにいったようですが。そういうやり方は重要ではなさそうですね。

当時は10代向けと言われていたので、上記のような「ポッキー」や「今日好き」のようなコンテンツがヒットしましたが、今は、視聴者層が幅広いので、色々なコンテンツの切り口で可能だと思います。要は、サービスや商品を売るために、どのような体験を楽しんでもらうことが重要なのかといううことを整理できれば良いのかなと。

でも、きっと、、、TikTokの広告メニューを活用しないと、人気が出る確率は低くなると思うので、下記の広告紹介も忘れてはなりません。

ということで、自分の考え方をまとめてみました。

自分の本職の映像ビジネスで考えると、映像の本編に「みんなで楽しみたくなるようなシーン」を作るとか(インド映画??)、予告編にそういった動きを演出で作るか、オフショットでその映像にちなんだコンテンツを作っていくか、でしょうか。

ということは、制作前の段階からかなり先回りして、TikTokを意識した仕掛けを入れておかないといけないのか・・。大変。

ちなみに、TikTokはインドで大人気って記事ありました。ダンス文化の高いインドはそういう素地があるので、ポテンシャルは高いなと思いました。

では、さようなら。


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