デンマーク 看護師のストライキ
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最長の看護師ストライキになる可能性
デンマークでは、6月19日以来、待遇改善を求める看護師の大掛かりなストライキが行われています。4,750人の看護師が参加して開始されたストライキは、8月15日現在で58日目に突入し、2008年春の大規模看護師ストライキの日数と並んでいます。8月10日には703人の看護師が新たにストライキに加わり、デンマーク看護評議会によると、今後も8月17日に225人、8月25日に215人、8月31日に315人、9月5日には281人の看護師がストライキに加わる予定とのことで、国内の看護師全体の約10％がストライキに参加することになります。期間的にも、デンマーク史上最長の看護師ストライキになりそうな勢いです。
約5万人の患者の治療が延期に
看護師の長期に渡るストライキによって、患者の治療にも影響が及んでいます。命に関わる手術や治療に関しては法律で影響を受けないようになっているものの、主に膝や股関節の治療が延期になっているようです。また、治療が終わり、退院できる状況にある人たちが、看護師のストライキによって退院できないという事態も発生しつつあり、そうなると、ベッドが空かず、次の患者の受け入れにも支障をきたすことになります。
時間との戦い
看護師がストライキを続けて待遇改善を勝ち取れるかどうかは、時間との戦いでもあります。看護師がストライキを続けられるのは、看護評議会が用意している保証基金が約5億デンマーク・クローネ（約87億円）ほどあるから。ここから、ストライキ中の看護師へ賃金に代わる保証金が支払われます。この額があれば看護師は少なくとも8週間のストライキを続けることが可能だと専門家は見ています。
いまのところ、政府は状況を静観しており、フレデリクセン首相はストライキは合法なもの、フメルゴー雇用大臣も、政府が介入する予定はないとしています。
https://www.dr.dk/nyheder/penge/sygeplejersker-styrer-mod-rekordlang-strejke-og-nu-udvider-de-den
約40％の国民がストライキを支持
国営放送DRの報道によると、直近の世論調査で、約43％の国民が今回の看護師のストライキを支持しており、逆に不支持を表明する人は約19％、支持も不支持もしないという人は35％という結果となっています。
コロナの感染状況が収束を迎えているからこそ
8月15日現在、デンマークのCovid-19に関する状況はかなり落ち着いており、日常生活にほぼ戻っています。ワクチン接種も8月13日現在で、1回目の接種を終えた人が全体の83.9％、2回の接種を終えた人は71.9％に達しており、感染者数は夏休みなどで一時的に増えているものの、病院に収容される患者数はワクチン接種が進むにつれて大きく減ってきています。
こうした状況になってきたからこそ、コロナ禍で大変な思いをしてきた看護師もストライキを実行できるのだと思います。
ストライキとは関係ないけれど、ぜひ考えてほしいこと
上記のデンマークの看護師ストライキと直接関係することではありませんが、今回のCovid-19のパンデミックへの政府の対応は、各国で違いが浮きぼりになっています。日本はまだパンデミックの真っ只中にありますが、やはり、現在の状況やこれからについて検証していく必要があると考えます。
NHKで「ワクチン接種 なぜ日本は遅い？」というWEB特集があります。英国の例も紹介されていますが、ワクチンに関してはデンマークも英国が取った対策とかなり似ています。ぜひ多くの人に読んでもらって、パンデミック、感染症、国の政策のあり方のこれからについて一緒に考えられたらと思います。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210513/k10013026071000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210514/k10013026081000.html
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