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12/31 ファンダメンタルズ分析初級編(前編)

こんばんはアトレです。実は投資、或いはトレードはしているけど決算書は読めない、もしくは読まないという方もいらっしゃるかと思います。そんな方々に今日はファンダメンタルズの観点からどうやって分析するかを簡単に手ほどきしたいと思います。
*年末最終号なので前編無料公開です。

ファンダメンタルズの分析はテクニカルと違って無数にあります。今年は暖冬になりそうだからエアコンが売れない、とかスイーツが売れているからあのコンビニは繁盛しているというのもファンダです。
今回私が解説するのは景気サイクルと決算の分析を通したファンダメンタルズ分析です

少し前にお伝えしたように、今後米国の金利が下がっていく事が既定路線の中で、不動産セクターがおもしろくなるかもしれないと説明しました。なので、今日は私自身も初めて不動産セクターを例にして説明していこうと思います。
*地味なセクターなんでどんな銘柄があるか私自身も実は全然知りません。

今日は私のノウハウを全面的に開示していこうと思っています。
まずは、分析を行う際に、基本的にはこんな順番で調べていきます。
①米国株全体として「買い時」つまりこれから伸びる時であるのか?
②そのセクターが今後チャンスがあるのか?
③そのセクターの中で「推し」はだれか?

①米国株全体として「買いの好機」であるかどうか?
これはよく私が言っている事ですが、経済ローテーションの中で、今は金利が下がるフェーズ、つまり中間反騰の最中です。
通常であれば、ここから浅いか深いか分からないが景気後退(リセッション)が訪れ、金利が下がりきったところで徐々に経済が強くなっていきます。

当然深い景気後退やなんたらショックが来たら株なんて買ってる場合じゃないですが、「浅い景気後退」或いは「ソフトランディング」で済む場合は株は買いです。現在はどちらに転ぶか分かりませんが、飽くまで仮に「買い」だという仮定の下、話を進めますね。
以下は、景気のサイクル(セクターローテーション)です。

現在は右下から左下に入るところというタイミングと言われております。
正に以下の図のようにエネルギーセクターはコロナショック以降絶好調で、チャート的にはその陰りがようやく出てきたところという感じですね。正にセクターのローテーションがこれから起きそうです。

つまり、このセクターローテーションから言うと不動産は早仕掛けという事になりますが、ここがセクターローションの面白い所で、飽くまで「目安」にしかならないという事です。実際、2023年に高金利の中でも情報技術(ハイテク)が強かった事を考えると、やはりローテーション通りにはいかない時もあります。

少し余談ですが、このセクターローテーションに反して情報技術セクターが強かった理由は、高金利下でも銀行に頼る必要がなかったので、影響が少なかった事が理由と考えていますこのセクターの企業は銀行から資金を借りなくても株式を通じて大量の資金を市場から得ており、高金利でお金を借りる必要があまりなかったり、従業員のリストラで収益構造を改善していた事が大きかったと思います。

そんな中、不動産セクターが注目な理由な金利が下がると家のローンが組みやすくなり、買い手が増えると考えられる為です。
因みに、不動産セクターに関する情報として、
①基本的には低金利の時に有利
②2023年は金利上昇を背景に不動産が売れなかった(本来買いたい人が買えなかった)
③金利が数%落ちるだけでマイホームのローン額としては数千万円レベルで落ちる事もあり。
という事で、景気悪化で金利が落ちた後、不動産セクターから業績が回復しやすいと言われます。

つまり、「今が買い時なセクターか?」と問われるともう少し先な気がします。ただ、最もオイシイ上昇相場の第一波が発生する時は多くの投資家がまだ未注目の状態なので日々のWatchが欠かせませんね。

次に、実践編に入ります。
Tradingviewで不動産セクターのS5REASを開きます。

チャートではなく「構成」という欄を開きます。そしてそれを時価総額順でソートしたのが以下の図です。
気になった事をピックアップします。
〇Prologis(PLD)、American Tower Corp(AMT)という2強が時価総額で100billionドルを超え、Equinix(EQIX)が75billion、あとは団子状態。
〇EPSはマイナスになっていないと分かるので全社黒字。ただし、右端を見ると、EPS成長率が大きくマイナスの企業が多いですね。これは収益率が落ちている事が分かります。
*EQIX、SPG、Oは収益が伸びている事が分かり、収益に構造的な違いがありそうです。
〇PERが総じて高い。S&P500が20弱である事を考えるとかなり割高感あり。ただし、セクター通して成長産業と見る事もできる。AMTとWELLが異常に高い

次に収益率の欄を見ます。
〇売上総利益(売上から売上原価、経費を引いた物)は40%位の業界。
 *この時点でWELLは見劣りするので削除
〇営業利益(売上総利益から人件費、研究費など間接コストも引いたもの)は30%台が多い。
 *EQIXは何かのコストがかかりすぎていて劣後している、一旦保留。
〇純利益率(税後利益率)はPSAとSPGが非常に良い。
 *AMTは何か特別損失計上したのではないかと思われる(税後利益が低すぎる)一過性の物、或いは膿を出したのであればむしろ歓迎。

という事が見えてきます。今のところ好感が持てるのはPSA、SPG、PLDですね。
EQIXはコストの謎が納得できる物であればOK。
AMTは膿を出したのであればOK。

次に損益計算書(P/L)を見ます。気づいた事を書きます。
〇AMT以外は売上高が同レベル。
〇売上高成長率がセクター通じて高い。大企業と呼ばれるレベルで売上が10%以上成長しているのは素晴らしく、セクター通して好況が窺える。
*特にPLDの成長率はグロース株並みの強さ。

次に右端のEPS成長率(1株当たり収益の成長率)を見ると
〇PLD、AMT、PSAは大幅に収益を減らしている。
 *利益率がかなり良かった会社たちだが、1年前と比べると激減、という事で本来は収益率が非常に良い優良ビジネスモデルだった事が分かる。
〇SPGは売上成長率が低かったがEPSはしっかり成長しており、他社と異なり、手堅い収益構造が予想できる。他の会社は収益のアップダウンが激しく、グロース株的な特徴がある

さて、ここまで読んで、実際に決算書を読む前のスクリーニングとして、以下を抽出した。
PLD、AMT、EQIX、PSA、SPG。
次回はこの5社の決算書を読んで、もう少しどんな物か深堀りしたいと思います。

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米国株・半導体を中心にファンダメンタルズ情報を発信します。 更新頻度:週1~2回 決済は、お申し込みをいただいたときに初月分が発生し、そ…

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