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130年続く家業の「想い」を伝える取組み|株式会社リングスター マーケティング室 唐金祐太さん

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株式会社リングスター
マーケティング室 唐金祐太さん

130年続く家業の「想い」を伝える取組み

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ヴェルディ:まずは唐金さんの家業について教えてください。

唐金さん:当社は明治時代から続く歴史ある、工具箱・ツールボックスを作る専門メーカーです。ずっと100年以上工具箱と向き合ってきたのは当社以外ありません。そこが最大の強みだと思っています。創業当初は木箱のケース等を作る木材加工会社であって、二代目から木製の工具箱をつくり、現在の樹脂を使った道具箱へと時代に合わせた変遷してきました。設計から生産まで一貫している事が品質の良さ・安定につながっており、自信があります。
基本的には代理店とのBtoBになり、ホームセンターや金物店、釣具店に取り扱いいただいております。

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ヴェルディ:ありがとうございます。いつごろから家業に入ろうと考えていたのですか?

唐金さん:うーん、高校を卒業した後ですかね。高校生の頃を思い返すと、父親は仕事に仕事に行ったきりで家で顔を合わせるっていうことが全くなくって、父親の仕事の姿を見ることはほとんどなかったように感じます。そのせいもあって、父親とはコミュニケーション不足でした。それでも父親の姿を横目で見て家業について気にしていましたね。小さい時に出張に行く父親に「またきてね!」といってたくらいです。ちょうどバンド活動にも没頭していたこともあって、将来自分は好きなことをやりたいってふんわりとした思いだけが常にありました。

卒業後はじめはバンド活動に注力してましたが、自分が子供のころからよくしてくれた従業員の方を思い出すんですよね。工場が家の前にあることもあって、取引先の方や社員の方たちが当たり前のようにいつも自分の周りにいて私を可愛がってくれた。そんな人たちと小さな頃から接していたので自然にアトツギとしての自覚がでてきていたんだと思います。ずっと引っかかるものがあって、そこで自分の好きなことだけをしてていいのかなと考える日々でした。だから「悩むくらいだったら家業に入ってみよう!」って、そこから19歳で家業に入りました。
入社後は本当に大変で、最初の6年間は工場で商品生産の全工程を基礎から学んでそのあと物流や社内業務を学び、営業に出てそして現在のマーケティング室までと、13年かけて家業について学んでいます。


ヴェルディ:そうだったんですね。今年からアウトドア市場に進出されていますが、これにはどのようないきさつがあったのですか?

唐金さん:弊社は今まで100年以上の年月、ずっと工具箱と向き合ってきました。長く会社が続いているからこそ、時代のニーズにあった変革を起こすことは必要だと考えています。当社の長い歴史があるからこそ得たノウハウや強みを考えたときに、デジタル化・SNS化が進んだ世界から離れられ自然とともにすごせるアウトドア市場の可能性に注目するようになりました。キャンプ製品以外収納ボックスの伸びしろは大きく、本当に世間の人たちがアウトドアを求めているのならそれに合わせたものを作ろうと感じました。またその時に気づいたのは、アウトドア市場のボックス製品はほとんど海外製品だということです。私は常日頃から「もっと日本製品の存在や良さを知ってほしい」という思いを持っています。だからこそアウトドア市場に進出することに決めたんです。

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ヴェルディ:もともと取り組んでらっしゃった建築業・釣り具やDIY業界からアウトドア業界に目を向ける、そこには唐金さんのどんな思いがあったんですか?

唐金さん:そうですね...やはり使う人のニーズに答えるっていうその思いが一番大切なんだと思います。例えば街中で荷物がパンパンで収まっていない職人さんの車を見かけたとします。そんなとき「何かできる事はないかなー」ってふと思うんですよね。

ほかにも今まで使いにくいけど当たり前だったから何も気にしていなかったっていうことってありませんか?職人さんたちが働く現場って本当に狭かったり、休憩スペースも少ない事もたくさんあるんです。そんな場所に道具箱をおかないといけないし必要に応じて道具を出し入れしなければいけないんですよね。それなのにいままで道具箱は前開きが当たり前だったんです。そのせいで狭い場所で向きをいちいち気にしたり。それに休憩の際に用いるために現場に椅子を出すと、狭い空間に椅子と道具箱などが詰まってもっと狭く感じます。そんな職人さんの小さなストレスを汲み取って解決するために道具箱を両開きにしたり、道具箱の上に座れるような強度で製品をつくることで椅子を出す必要をなくすなど使い手の使い方に寄り添ったモノをつくる事が、商品を愛用してくださることにつながるのだと思います。
キャンパーの方の車ってパンパンですよね!同じような悩みは持っていると思ってます。
この本業の道具箱づくりの経験がアウトドア事業のリソースになっていることが多いです。

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ヴェルディ:なるほど、思いがモノづくりを通してお客様に届くんですね。
アウトドア事業への進出の際にクラウドファンディングへ挑戦され1100人近くが応援購入、金額目標2800%達成と大成功をおさめられましたが、その要因となるものはありますか?

唐金さん:そうですね、成功とかはあまり考えておりませんが、強いて言うなら「想い」ですかね。お客様が、アトツギとしての私の「想い」に共感してくれたりとか。私自身も130年続く会社としての使命・歴史や「想い」アウトドア商品を出すにあたっての「想い」を商品に乗せてお客様に伝えました。
結果的に、当社をもともと知っていて応援購入してくださった方にも応援していただき『こんな企業があったんだ!』との声も多かったです。あとは本当に商品を良いと思ってくれたり「想い」を受け取ってくれたから応援購入してくださいました。
あとは先ほども話したように、日本製品の良さを発信したことですかね。安さに関しては外国製品に負けてしまうかもしれませんが、耐久性をはじめとしたプロダクトの優位性など、当社にはこんな良さがあるということを伝えられたと思います。

 
ヴェルディ:成功の裏にある苦労話もよかったら教えていただけますか?

唐金さん:苦労したことはそうですね…社長である父親とどうやれば一緒の方向を向いて進んでいけるかについては常に考えました。
私の父親は根っからの職人肌で、回りの目もありまだまだ経験が浅い私が企画を通そうとするときなどはあえて厳しくしたり、反対することも多かったように感じます。そこを乗り越えて企画を進めていくことには苦労しました。

でも結局は父親としての感情も入ってくるんですね。だから月一回はお酒を片手に、その企画にはどんな背景があってどんな世間のニーズがあるかなどの情報を話し、そして最後の決定権は父親に渡す。そうすれば同じ方向を向いてくれたりします。自分自身も本業と新規事業を両立させるよう、どちらも怠ることなく邁進する事も大切です。本業で貢献することで新規事業につながることもありました。結局ブランド発案から企画が通るまで1年半ほどかかりましたが、それがあるからこうやって進めていけたと思っています。
この経験で得たことは「まともにぶつかりにいくだけが正解じゃない」っていうことですかね(笑)

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ヴェルディ:ありがとうございます!最後に、家業とともにどのような未来を作っていきたいか今の唐金さんの思いを教えてください。

唐金さん:リングスターのロゴの意味は“お客様、仕入先様、従業員、家族。リングスターに関わる全ての人が手を繋いで星を見ている”という意味が込められております。このロゴの通り、関わっていただける全ての人達と想いを共有して一緒の方向に進んでいければいいなと思っております。

昨今では環境に対する配慮もモノづくりに必要です。長く使えることで物を大切に思う気持ちが使い手にも生まれることが大事なんです。「長く使える」ものをつくる事も貢献だと思ってますし、そういう良さをこれからもっと発信していきたいですね。そういう考えもあってか、スターバックスコーヒージャパン株式会社とコラボすることもあって、世界の大企業に認められたということで自信につながりました。

アトツギとしていえることは、小さい頃から見てきた親のような人たちと一緒にいられるのはアトツギの特権だと思っております。私が黄帽を被ってた頃に送り出してくれた人が今は私の隣で仕事しております。『DXじゃーい!』と前のめりの私を笑顔でなだめてくれて、上手く間に入ってくれたりします。なんも変わってませんね。笑顔で見守ってくれるこの特権!(笑)
そんな先人たちが築いてきた信頼、繋いできた歴史を守り、世の中に貢献し日本のモノづくりを世界に発信していきたいです。

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最後になりますが、アトツギって常にいろんなことに悩んでしまいます。周りのすごいアトツギと比べたりして自信なくしたり。でもそんなとき私がどうやって克服したのかというと、「何かを小さくてもやり続けること」でした。それが小さな自信になって、ずっと続けることで大きな自信が生まれていくと思います。
きっと皆様のその仕事は今日も誰かを必ず幸せにします!自信もって胸張って全力で仕事していきましょう!!

(文/田村みらい)


いかがでしたでしょうか?
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