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2024年1月の記事一覧
「テルマ&ルイーズ 4K」
映画『テルマ&ルイーズ 4K』オフィシャルサイト https://unpfilm.com/thelma_louise/ リドリー・スコット監督の1992年アカデミー賞作「テルマ&ルイーズ」 監督自身による4K映像でのデジタル修復版、レストアで再公開 まっ、この作品に関して 僕がいまさらどうこう書くのはなんですので・・・ デジタル技術によるコンテンツ周辺の話題は 去年のビートルズの Now and Thenを筆頭に 昨今話題が豊富です。 音楽のリマスターに関してはいろいろな意見が聞こえるけど 映画のレストアに関しては反対する人はまずいない(と思う)かなと。 僕自身の経験では 先日、黒澤明作品の「生きる」をこれで観た。 生きる(1952) : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/4446/ ずいぶん前になるが、レンタルDVDでオリジナルを観た時は 映像が古いのはまだ我慢できたとして ともかく音声がひどくて、役者が何を言っているか大げさではなく4分の1ぐらいはわからなかった (特に伴淳三郎はもともともじゃもじゃセリフを言うので聞こえない筆頭でしたが、、、でも、作品としてのすごさは伝わってきたが)。 そして今回 改めて音声も修復されたものを観たら その感動は何倍ものものだったと。 こういう風に デジタル化による秀作のレストアは正に歓迎されるもの。 ・・・・と言っても、何でもかんでも、そうかとはいかないと思うけどね。 2024年2月16日 公開
「落下の解剖学」
映画『落下の解剖学』公式サイト https://gaga.ne.jp/anatomy/ ミステリー小説と 裁判小説とを下地にした舞台演劇 というのだろうか、 僕にはそう感じた。 フランスの山中のロッジで起こった 転落事故?事件? 被害者で夫の妻が容疑者として逮捕され 現場の証人は視覚障がいのある11歳の息子だけ。 果たして、事件なのか、事故なのか、はたまた自殺なのか。 場面はほぼこの現場と、審理が行われる裁判所。 見ていて、あの名作 シドニー・ルメット監督 ヘンリー・フォンダ主演の「12人の怒れる男」 十二人の怒れる男 : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/15997/ を思い出した、、、ちょっと言い過ぎですな。 まっ、それはそれとして 本作のポイントは時代性なのか「国」だと僕は思う。 共に小説家であるドイツ人の妻、フランス人の夫 ドイツでの苦しい経験からイギリスにわたり夫と出会い わけあって夫の国フランスの、しかも人里離れたロッジに移住する。 子供が生まれ、それだけの理由ではなく 家庭内での会話は英語という なんともグローバルというか、、、、。 そして、妻の裁判ではフランス法廷で当然フランス語での審理。 妻は時々、英語での発言を求めたり。 審理の行方を楽しむのが本筋なのかもしれないが 僕はどうしてもこの、国籍、言語にかかわる伏線に(ではないかもしれないが)は惹かれてしまった。 そして 視覚に障がいのある息子がカギを握る、そこには「言葉」しかない。 監督はジュスティーヌ・トリエ 長編4作目である本作で 2023第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞したということだ。 主演はサンドラ・ヒュラー。 (すみません、二人とも知らなかったし、資料がなかなかなく、紹介に至りませんでした) 2023年2月22日 公開
「コヴェナント/約束の救出」
映画『コヴェナント/約束の救出』公式サイト - 2024年2月23日公開 https://www.grtc-movie.jp/ アメリカが犯した国家的契約違反。 これは一級の作品。 コヴェナント:契約 という意味。 本作品は アフガニスタン戦争の戦闘を劇的に描いた映画ということ以上に アメリカが犯した国家的契約違反を 痛烈に、過酷に訴えた力作といえる。 アフガン戦争でアメリカ軍は約5万人の現地通訳を雇っていた、 このことは僕を含めて多くの人は知らない事実だった。 しかも彼らへの雇用条件にはアメリカの永住ビザ発給という契約が含まれていた。 2021年のアメリカ軍全面撤退時に取り残されまいと命を懸けて旅客機にしがみついていた人々のニュース映像を私たちも見た。 そう、彼らの大半がアメリカ軍に協力したアフガニスタン人であり、その多くにまさに通訳契約をした人々が含まれていたんだろう。 事実その後タリバン政権樹立後に300人の通訳が処刑され、今でも数多くのこうした人々が命かながら逃避の生活を続けているという。 本作は そうしたアフガニスタン人通訳とアメリカ軍人の友情、絆を描いた。 ミッションを遂行すべく現地に向かったジョン・キンリー、彼らの通訳として雇われたアーメッド 待ち伏せに巻き込まれて生死をかけた逃亡、そしてそれだけでは終わらない。 これ以上書くと観る人の興をそいでしまうのでストーリーはここまで。 監督はイギリス出身のガイ・リッチー 長編処女作の犯罪群像劇「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(98) 続く第2作「スナッチ」(00)にはブラッド・ピット、ベニチオ・デル・トロら大物俳優が参加して話題を呼ぶなど、 スタイリッシュなアクションが評価を得た。 僕としては 「シャーロック・ホームズ」(09) シャーロック・ホームズ : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/54174/ 「キング・アーサー」(17) キング・アーサー : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/83996/ あたりが印象深い。 そうそう あの女性歌手マドンナの元夫ということで、私生活でもなかなかハードな人のようだ。 主演のジェイク・ギレンホール 僕の印象では何でもこなす演技派。 事故犠牲者の事件発生8分前の意識に入り込み、その人物になりすまして犯人を見つけ出すという 「ミッション:8ミニッツ」 ミッション:8ミニッツ : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/56216/ (この作品 余談だが監督のダンカン・ジョーンズは あのデビッド・ボウイの息子だったと先ほど知った。。。) 地球規模の大災害を描いた「デイ・アフター・トゥモロー」 デイ・アフター・トゥモロー : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/1047/ そしてなんといっても2006年アカデミー賞作品賞の カウボーイ同士の愛を描いた「ブロークバック・マウンテン」では助演男優賞にノミネート 本作でも大いに満足できる演技だといえる。 そして 助演のダール・サリム 1977年、イラク生まれ。デンマークに移住した経歴で 役者としてはあまりなじみがないが リドリー・スコット監督の『エクソダス:神と王』(14)はじめ多くの作品出演しているようで、 本作が彼の代表作になると僕は思う。 本年早くも 極楽映画大賞ノミネート作。 2024年2月23日 公開
「ダム・マネー ウォール街を狙え!」
あけましておめでとうございます。 本年最初の極楽試写の紹介です。 映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』公式サイト - 2024年2月2日公開 https://dumbmoney.jp/ いつもの・・・ウォールストリート狂気の現実。 まずは案内資料からストーリーを抜粋で記す。 「2021年実際に起こったアメリカの金融マーケットの大事件。 大富豪、ヘッジファンド(※Ⅰ)が更なるもうけを画策するために空売り(※Ⅱ)していたある株を ネット掲示板に集った小口の個人投資家たちがこぞって買うことにより、ヘッジファンドに大損害を与えた。 強欲なウォール街の大富豪に対して一般市民がSNSを通じて団結した反乱劇」 ※Ⅰ:ヘッジファンド ごく限られた富裕層や機関投資家を対象とした投資のシステムで多様な投資手法を駆使し、確実なリターンの運用を行う。 ※Ⅱ:空売り 下がると見込んだ企業の株を、信用取引などを利用して“借りて売る”こと。 実際に下落した時点で買い戻すとその差額が利益になるが、逆に株価が上がると損失を被る。 監督のクレイグ・ギレスピー オーストラリア・シドニーで生まれ。 CM監督として活動し、コメディ映画(Mr.ウッドコック 史上最悪の体育教師)ヒューマンドラマ(ラースと、その彼女)や、ホラー映画(フライトナイト 恐怖の夜)実話を基にしたドラマ(ミリオンダラー・アーム)、 アメリカのフィギュアスケート選手の波乱の半生を描いた『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』では、 主演のマーゴット・ロビーにアカデミー主演女優賞ノミネート、アリソン・ジャネイには同助演女優賞のオスカー受賞。 こうした実績のある監督による本作はエンタテイメント性の高い作品になっていて評価は高いと思う。 が、ここからは本作の出来という点ではなく、あくまでも背景としてのこの「株取引」を取り巻く騒ぎについての苦言を書きたい。 本作では 弱者(ネット掲示板に集った小口の個人投資家たち)が 悪(大富豪とヘッジファンド)に大損害を与え 痛快、正義は勝つみたいな描かれ方をしている。 ここで言いたい。 この事件、事実は決して「市民革命」のようなものではないのではという事だ。 本件、そもそも、小口投資家たちだって、株取引でバーチャルな利益を求めているわけで、 それは大小の違い話あれど、ヘッジファンド同様に「いわゆる濡れ手に粟」を追う同じ穴の人たちではないのか ということだ。 どうしてもこの一点を指摘しておきたい。 僕はもともと株取引には否定的な人間だが、だからそうということではけっしてない。 昨今の日本を見回していても 実経済に関係なく株価だけが高まったり、ニーサとかいう投資を政府が促す動きがあったりと そういう意味での警鐘を皆が自身に鳴らしておいた方が良いのでは。 だからといって、この作品の出来に関係するものではない、 十分面白い作品であることには違いはない。 2024年2月2日 公開