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家、間取り

家は青い瓦屋根の平屋だった。
母のおじいちゃんが山を持っていたのでその一部の土地をもらい
父が無一文から頑張って貯めたお金、当時300万で建てたそうな。

父方に大工の親戚がいたので間取りなどはお任せしたそうで後々母親が南側に窓がない!日が当たらない!暗い!とブーブー文句を言っていたのを覚えている。
後に増築工事をして南側に窓を作ってくれた父。
少し気性の荒い父ではあったけど家族に不自由させないよう頑張っていた。

でも私は小さい頃過ごした増築していない家が1番気に入っている。
西向きの居間は縁側になっていてすぐに中庭へ出れて夏の夜には花火をしたり、お天気のいい日は段ボールを庭に敷き日向ぼっこしながらレコードを聴いたりした。かわいい魚屋さん、およげげたいやきくん、特にB面のいっぽんでもニンジンが好きだった。オレンジ色のレコードプレイヤーが懐かしい。

西側にブロック塀がありそこに布団を干していた。
あまりに心地良さそうでその上によじ登り昼寝をしたら落っこちた事があった。

私が生まれてからおじいちゃんが私の砂場用にともう少し土地をくれた。そこでは「もん」という名前の犬、うさぎ、鶏たちを飼っていた。
隣はおばあちゃんの畑だったので苺を食べに行ったりお昼用のネギを取りに行ったり、夏には大きな向日葵🌻が光っていた。

小学校一年生の時、私の砂場用の土地には母親の美容院が建てられた。

東側が接道、美容院の南側が畑。北西は空き地

間取りを思い出しながらささっと書いてみた。

友達が遊びに来た時、みんなは二階建てが普通だったのか
二階で遊ぼう!と言われ、「二階はないけど屋根裏はあるよ」と押し入れに登って自慢げに見せた事がある。

その話を親にしたせいか。。。
小学校四年生の時に増築して二階ができた。
中庭が潰れて下は車庫になり日向ぼっこをしながらレコードを聴くことはできなくなってしまった。

私はひとりっ子のため競争心がなく、人と比べたりすることもない。
二階も自分の部屋も全く欲しくなかったのに。
豊かな暮らしや物を所有することは必ずしも心の幸福度には繋がらない。

さよなら、忘れない、幸福な日々。

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