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モノやコトが個人に帰属するWeb3の世界が作り上げる新しい経済圏 ③

株式会社アトノイの代表・川本栄介が考えるWeb3の世界、Web3が作り上げていく新しい社会について。今回は、個にフォーカスしたWeb3の現在地点についてお伝えします。②はこちら。

モノやコトを個に帰属させる。第三者を介さず、個と個が繋がる時代へ

僕がIT業界に入ったのは2000年前後。この20年で新規事業を含め、いろいろなものの開発に携わり、その推移を見てきました。その中で、過渡期、転換期が2020年辺りにくるのではないかと感じていました。ブロックチェーン、トークンエコノミーというものに出合い、次のフェーズではこれらが新しい社会の礎を築くのではないかと考えはじめ、2018年にこのシステムを用いたコンサルとして独立。「個人に帰属する社会、経済」が次の時代を作り上げていくということを常々語ってきました。それがまさに僕が考えるWeb3の世界です。

その昔、大学や会社などの所属先で相手を判断する時代がありました。そこに属しているから、この人の年収はこれくらいで、これくらいの生活レベルを送っている人ということだけ判断し、その人個人の能力や経験、活躍ぶりはそこにほとんど反映されていませんでした。しかし、SNSの登場によって、個人がいろいろなことを発信できる時代になり、いいことも悪いことも含めて拡散され、みんなの目に触れるようになってくると、やはり個にフォーカスし、あらゆるモノや情報を個人に帰属させていく時代に入ってきたと感じています。現在も、個人の情報というのは個人に帰属されている感じには作られています。しかし、すべてではないのです。Eコマースを例にすると、Amazonで何を買いました、Amazonでいくらお金を払いました、Amazonでどんな商品に興味があるのか検索しましたという情報は、そのAmazonのプラットフォームサービスの中では個人に帰属していますが、楽天で同じように買い物をしても、楽天とAmazonの情報はリンクしていないのです。Amazonの僕、楽天の僕がそれぞれいるだけであって、Eコマースでショッピングしたい「僕」がいるわけではないのです。本来はどちらでも商品を販売しているのだから、どちらかの最高のイイモノを届けてほしいと望みたいのですが、Amazonと楽天はライバル関係だからそんなことはしません。楽天やAmazonという信頼のおける第三者が間に入って、生産者と消費者、製造者と消費者の間を仲介しているわけですが、両方の情報をプラットフォーマーが牛耳ってしまっているから、消費者の顔も生産者の顔も見えないのが一般化してしまっているわけです。

Web3の世界では、生産者と消費者、製造者と消費者の信用や信頼を、第三者を介さずに築き上げることができます。Web3の世界を「トラステッドWeb」という言葉で表現することもあります。Web3の考える社会は、信頼のおける第三者を置かずに直接取引をしても、相手がきちんと物を送ってくれる、お金を支払うという関係性など、信用と信頼を担保する仕組みが成立する新しいコミュニケーションとコミュニティの仕組みを構築しましょうというもの。これはより個にフォーカスした考え方なのです。

過去にも、インターネットが出てきたときに、自分だけのおもてなしとか、自分だけに刺さる何かを提案してもらえたらいいよねと、1to1マーケティングという考え方が出てきたことがあったのですが、当時はコストがかかり過ぎて無理がありました。しかも取得可能な情報はクッキーで取れる情報ぐらいしかないから、どのサイトを見に行ったとか、どのリンクを踏んだか程度なので、それだけでその個人をどれだけ推し測れるかと言うと限界があるわけです。要は情報が個人に帰属していなくて、いろいろなデータベースにそれぞれの情報が入っていて、それを見に行くというのはハードルが高かったわけです。それであれば、マイノリティは置いておいて、マジョリティーなところで、面で広告を打ち、とりあえずみんなにクリックさせる何か仕掛けをして、ページを見せて、またそこでふるいにかけてコンバージョンで何%の人が残ったらその人たちの売り上げが…みたいなマーケティングの仕方をするしかないわけです。また、これも前で述べましたが、世の中のトレンドって何?と調べるよりも、自分たちでトレンドを作った方が楽なわけです。ただ、それが本当にその人が求めているものなのかということとは、正直繋がりにくいのが実際のところです。1to1ではないのです。しかし、Web3の世界では、より個にフォーカスし、あなたが欲しいのは何? あなたがしたいのは何?というものをしっかり個人に全て帰属させることができるのです。

④へ続く

<構成・リライト:徳積ナマコ>

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