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スクラムの構造とそのメカニズム#8

こんにちは、あとうです。
本日は日本代表とブリティシュライオンズとの一戦!
もう朝からわくわくが止まりません!!!

ひとつひとつのプレーから目が離せません。

そんな中、本日もスクラムについてまとめてみました。
本日のテーマは、8人で組んだ時のバック5の役割とフロントローのつま先についてです。

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前回のまとめでは、静的構造の視点から、ロックをはじめとするバック5の役割を記載しています。
アーチ橋に加わる荷重(圧縮力)は、地上からくる鉛直方向の力と水平方向からの力と釣り合わないといけません。
バック5はその水平方向の力になることを説明しました。

今回はその水平方向の力、スクラムが回転する力を使って真っすぐ押すためにスクラムにおける各ポジションの挙動を解説したいと思います。

基本的にスクラムは3人、5人、8人という単位で組んでいくと思います。
私は、1人、3人、8人という単位で考えています。
3人の単位は、フロントロープロップ、ロック、フランカーと二つに分かれるということを理解して下さい。

1.エンゲージ前の状況(バインド前)
上の図はスクラム全体です。薄い色のポジション(フッカーとNo.8)はスクラムを組む中で比較的自由に動けることを示しています。
その下の楕円はフロントローのフットポジションを示しています。

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エンゲージ前はまっすく組むという意識から、スクラム全体が真っすぐ向いています。つま先も真っすぐ向いています。

2.バインド時の状況

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バインド時にはフッカーを中心に、3人のユニットに分かれます。
・横方向における3人ユニット → フロントロー
・縦方向における3人ユニット → プロップ、ロック、フランカー

ここでは、縦方向に意識を向けてください。
それはスクラムを組んだ(エンゲージした)瞬間に発生する圧縮力に対して水平方向の力をすぐに差し込まないとフロントローが姿勢をとれないからです。

3.エンゲージ直後
エンゲージ直後を3番側の挙動と1番側の挙動と二つのフェーズに分けます。
必ず、3番側→1番側と動くという規則性を覚えておいてください。
※スクラムのテクニックには1番→3番側という規則性もありますが、割愛します。

A.3番側

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スクラムを組んだ(エンゲージした)直後、横方向の3人ユニットは回転力を使って、右方向にスクラムを押すように力の向きを揃えに行きます。

足元から見ます。
3番は左足、フッカー(HO)は右足が前に出ています。
3番の右足をやや後ろに下げて右方向に押せる準備を始めます。
1番側はつま先の向きをわずかに右にします。
人間は不思議なことに、つま先が向いている方向に体が旋回していきます。
さらに、このフットポジションが上図のフッカー(HO)と3番の肩が重なるところが矢じりの形になり、相手の1番とフッカー(HO)のバインドを切り裂くにナイフの役割になります。

フッカーの右肩と3番の左肩が矢じりになるということは足も同じようになっているため、ロックとの隙間が発生します。ここに大きな隙間があるとフロントローは圧縮力に耐えれない為、後退してきます。なのでロック(5番)が速やかにくさびを打ち込むイメージで隙間を埋めに行きます。
3番側についているフランカーは、3番が相手1番側からくる回転力に耐えれるように、3番の右足を前に出せるようにサポートします。

1番側は3番側が相手1番側から受ける回転力に負けないように、縦方向の3人ユニットで壁を作ります。
ロック(4番)はフッカーの左足を前に出せるようにサポートする役割も持っています。


B.1番側

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今度は1番側の番です。
3番側が右方向にスクラムを押せるように方向を整えました。

そうすると1番側は回転する力を利用して右方向に押しこみます。
この時重要なのは、1番側についているフランカーの押しを中心にすることです。その押しは1番の右足を前に出すサポートになるからです。

そして、3番側はその1番側からの力を受けて、3番の右足を前に出します。

4.安定状態

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これで押す方向が右に揃いました。
ここでようやく8人で力を発揮する状況が生まれました。

縦方向の3人、横方向の3人単位がバインドで結束され、1人のNo.8が縦方向の3人単位を寄せていくことで真っすぐ相手に力が伝わります。

まとめ
スクラムは縦、横の動きが入り、さらには自重という下方向の動きも入ります。それを、3人、8人という単位でまとまり動かす、耐えるということを理解いただけたでしょうか。

1対1、3対3、5対5、8対8とスクラムを組んでいくときにそのフェーズでどの上記におけるどの局面の練習かということを選手に教えないと、スクラム練習はただ苦しいだけとなってしまいますし、スクラムを強みに変換できないと考えています。
特に3人という単位においては、横方向ばかりにフォーカスされていますが縦方向の3人にもフォーカスをしていただければ幸いです。

お願い
縦方向の3対3を練習で行う際は絶対に押し合いはしないでください。
押し合いをしてしまうと水平方向の力が勝ってしまい、フロントローが姿勢を取れず、首の怪我つながります。
アーチ橋を作る(自重に耐える)ための姿勢作りの練習として取り扱ってください。

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