スクラムの構造とそのメカニズム#7

本日は、JAPAN vs SUN WOLVESの試合でしたね!
久しぶりのJapanの試合でもあり、Sun Wolvesの試合でもありわくわくが止まりませんでした。スクラムにも釘付け!
そんな素敵な土曜日でしたが、本日もスクラムについてまとめ見ましたので、本シリーズを片手にJapanのスクラムレビューや明日からの皆さんのスクラムにお役に立てれば幸いです。

前回までのまとめを以下に要約してみます。
1.スクラムはアーチ橋である → 静的構造
2.スクラムは回転するもの  → 動的構造
3.スクラムの回転は防ぐことはできない。回転の力を利用し真っすぐ押す。

でした。基本的にはこれは1対1、3対3、5対5、8対8で組んだ場合も変わりません。今までは主に1対1、3対3での話をしてきました。

本稿からはバック5の話を加えていきます。
そもそもスクラムにおけるバック5の役割は何なのでしょうか。

話は#1までさかのぼります。スクラムはアーチ橋ですと申しました。
まだご覧になられていない方は以下のリンクを参照ください。

https://note.com/ato0023/n/nb740376df325

アーチ橋の定義には以下の通りです。

<<アーチの荷重がかかり、その荷重と各部材の自重である下向きの力を、各部材の内部で圧縮の力に変換し、支点へ伝達する>>

組み合ったときに自身の自重(荷重)を地面に伝達しなければなりません。
その下向きの荷重と地面からの力(反力)が釣り合うことが必要です。しかし、その反力は自身の荷重と直接釣り合うのでしょうか。

実際は釣り合いません。
太ももを介し、膝を介し、つま先を通じて地面に伝達されます。太ももや膝からつま先は角度を持っています。
そのつま先からくる反力は垂直に伝わりますが(正確には鉛直反力と言います)、その反力は膝からくる斜め方向の力とは釣り合いません。
なので、力を垂直方向と水平方向に分解をする必要があります。

そこで出てくるのが水平反力という言葉になります。

言葉の通り、水平方向からの反力となります。この2つの力が釣り合うことで自身の自重が地面に伝達されるわけです。

もうお気づきかもしれませんが、バック5はその水平反力を担います。
下の図をご覧ください。
(図はロック(青)、フランカー(オレンジ)のみです。)

画像1

赤い矢印が水平反力を示します。
この水平反力が、世間一般でいうスクラムの押しなのです。

フロントローの皆さんがよく低くスクラムを組むこと、またコーチから組んだ後に沈め(膝を起点に体ごと下に落とすこと)と言われるのは、自重(下向きの力)と鉛直反力と水平反力を釣り合わすためなのです。

フロントローは自重をコントロールできないとお互いの相手からの水平反力と自チームからの水平反力により自身が圧縮され、背骨が座屈し(背中が丸まり)自身が浮きあがること、または圧縮力に耐えれずに頭を抜いてしまうこと(ヘッドアップ)につながります。
→これらは危険なプレイとなり、反則につながります。これはプレイヤーの安全を確保するという観点だということをお分かりいただけるかと思います。

ここまでの話をまとめます。
バック5はアーチ橋でいう水平方向の力になる。その力はスクラムを押す力になっている。

フロントローはその押す力と釣り合うために自ら低くなれるようコントロールする力を身に付ける必要がある。

以上より、フロントローは自らが低くなることと回転する力を使い真っすぐ押す方向を揃える、すなわちスクラムを崩さず、かつ押す方向をコントロールすることに専念するポジションということご理解いただいたと思います。

次回は、水平反力を効率よくプロップに伝える方法等をお話しをしていきたいと思います。

皆様のスクラムの理解、コーチングのお役に立てれば幸いです。

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