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ダークな性格にはそれほど大きな男女差はない?

割引あり

パーソナリティ特性の得点について,男女で平均値が異なるのではないかという検討は世界中で行われています。

なお,男女差についてはこちらの本もぜひどうぞ。


最大化論者と最小化論者

この種のテーマの研究者は,表題に示したように「最大化論者」と「最小化論者」に分けられるということを指摘する研究者もいるようです。最大化論者は男女間の多くの大きな違いを見つけようと説明する傾向があり,最小化論者は現実的で意味のある違いがいかに少ないかを強調する傾向があります。

差がある

問題は,何をもって「差がある」と言うかです。「変化する」「違う」「差がある」という言葉を使うときには,注意が必要なのですよね。同じ言葉を使っていても,背景の意味が違うので意思疎通が難しくなることがあります。

差があるかどうかのひとつの目安は,標準偏差に対していくつ分の違いがあるかを考えることです。たとえばCohenのdという値は,dが「1.0」というのは,差が標準偏差でひとつ分開いていることを意味します。そして,dが0に近いと「差がなし」,0.2程度だと「小さな差」,0.5程度だと「中程度の差」,0.8程度だと「大きな差」と解釈されます。

ダークな性格の性差

ダークなパーソナリティというと,マキャベリアニズム,サイコパシー,ナルシシズムの枠組みであるダーク・トライアドや,そこにサディズムを加えたダーク・テトラドの枠組みが知られています。しかし実はそれだけではなく,別の枠組みでも研究が行われています。

パーソナリティ障害の枠組みから,パーソナリティのダークサイドがまとめられた心理検査として,Hogan Development Survey Form(HDS)というものがあります。大規模なデータを用いて,男女の平均値の差を検討するとどうなるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Few sex differences in dark side personality scale domains and facets)。

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