パーソナリティ障害にも一般因子が存在する
病気の診断というのは,基本的にカテゴリです。たとえば「風邪かそうではないか」という診断はありますが,「これくらい風邪」という診断をすることはありません。「軽い風邪」とか「ひどい風邪」という表現をすることはあるかもしれません。
連続性
一方で精神的な問題は,連続的に程度の違いとしてとらえられることが多くあります。たとえば,自閉症スペクトラムという言葉を聞いたことがあるでしょうか。対人関係が苦手だったり,強いこだわりをもつ傾向が,軽度なところから重度なところまでスペクトラム状に連続するという考え方です。
同じように,パーソナリティ障害も連続的にとらえられる場面が多くあります。自己愛性パーソナリティ障害も,もともとは病理ですのでカテゴリカルに判断されていたものなのですが,心理尺度を使って測定していくと,非常に得点が低い人から非常に得点が高い人まで連続的に人々を並べることができることがわかってきます。
一般因子
ビッグ・ファイブ・パーソナリティの上には2つの因子(αとβ)があり,さらにパーソナリティの一般因子(GFP)を仮定する研究者もいます。
パーソナリティ障害や精神病理因子の上位にも,一般因子があるのではないかという研究も,以前からされているのです。呼び方はいくつかありますが「p因子」と呼ばれたりします。
今回の研究は,DSM-5という精神疾患の診断マニュアルに基づいた心理尺度を用いて,統合因子が見出されるのかどうかについて検討したものです。はたして,ひとつの因子は見出されるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(The underlying structure of the Personality Inventory for DSM-5 (PID-5): a general factor of personality psychopathology)。
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