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グリットと勤勉性は違うのか同じなのか

「やり抜く力」として知られているグリットという概念があります。努力と根性のような概念ですが,おおよそ2つの要素で構成されるようです。

ひとつは「根気」の要素で,「最後までやる」という意味です。もうひとつは「一貫性」の要素で,「他に注意がそれずに続ける」という内容になっています。このように,他のことに目をくれずに最後までやり抜く,というのがグリットの主な内容だということが言えそうです。

以前,グリットと自己コントロールがとても似た概念なのではないかという研究を紹介したことがあります。そこでも,グリットと自己コントロールが似た概念で,ちゃんと分けることができるのかということが問題となっていました。

グリットと勤勉性

グリットと勤勉性との関連については,メタ分析で検討した研究もあります。

この研究によると,グリットと勤勉性との間の相関係数は,r = 0.80を超えるような値になるそうです。これはとても高い値で,明らかにグリットと勤勉性は互いに重複しているということになりそうです。

ただし,その関係の細かい部分はまだよくわかっていません。

関連のモデル

そこで,グリットと勤勉性のあいだでどのような構造のモデルをつくることができるのかを検討した研究を見て見たいと思います。この論文です(Grit and conscientiousness: Another jangle fallacy)。

この研究では,グリットと勤勉性をどのような因子モデルで捉えることが適切かという問題を検討しています。

たとえば,グリットの2つの因子と勤勉性が並列で並んでいて,相互に関連があるというモデルです。

また,グリットの2つの因子の上位に1つの「グリット」因子があり,その上位の因子と勤勉性の因子が並列して並んでいるというモデルです。

さらに,勤勉性とグリットの一貫性が一緒になって根気が別になっているモデル,勤勉性とグリットの根気が一緒になって一貫性が別になっているモデルについても検討されています。

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