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認知機能と身体機能の密接な関係

高齢になると,身体面の健康と認知面の健康の両方を上手く維持することが大きな課題になります。この両側面は,日常生活にも不可欠な要素であり,高齢期の介護による社会的負担を軽減するためにも重要なポイントになります。


衰え

年齢を重ねると認知面も非認知面も衰えていくのは致し方ありません。しかし,加齢が何を引き起こしてどのように問題が波及していくのかという点については,分かっていない部分も多そうです。

加齢によって生物としての生理機能の低下が生じ,そこからさまざまな能力の低下に波及していくのかもしれません。しかし,ある能力の低下と別の能力の低下が連動して生じるのか,それほど連動しないのかを調べていく価値はありそうです。この整理を行うことで,共通する背景要因がありそうかどうかを推測できるかもしれません。

年齢に伴って

実際に,長期間にわたって高齢期の人々を追跡調査していかないと,加齢に伴う連動の様子はわかりません。つまり,この検討を行うことができるというのは,非常に貴重なものだと言えるのです。

では,日本の調査に基づいて,知能と身体機能との関連を検討した研究を見ていきましょう。知能については,問題解決や抽象的思考,論理的思考を反映する流動性知能と,知識や語彙力などを反映する結晶性知能にわけて捉えています。こちらの論文を見てみましょう(Differential Longitudinal Associations Between Domains of Cognitive Function and Physical Function: A 20-Year Follow-Up Study)。

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