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声を聞いたら年齢はわかるのか

お年寄りのモノマネをするとき,しゃべるスピードが遅くなるとリアルに感じるのではないでしょうか。

音声から話す人の年齢を推測する場合,話している内容よりも,音声上の特徴から推定することが知られています。年齢とともに変化する音声の属性というものもあるらしく,基本周波数,揺らぎの量,発話速度の変化が年齢によく関連するようです。

声の基本周波数は思春期や成人期で大きく変化します。いわゆる声変わりというやつですね。それから年齢が上がるにつれて,他の生理学的な変化と関連しながら揺らぎの量が増加していくとのことです。

そして,発話速度は成人期になってからも大きく変化する要因です。多くの人がイメージするように,一般的に高齢になるにつれて発話速度はゆっくりになっていきます。

若く聞こえるのか

では実際に,録音した音声の発話速度をコントロールすると,その発話を聞いた人は「より若い」「より年長」の年齢を推定するのでしょうか。ただし,少し複雑な関係も想定できそうです。たとえば,若い人の声を遅くしたら,どれくらいの年齢だと聞こえるのでしょうか。より年長の人の声を遅くするのと,結果は変わってくるのでしょうか。

そこで,発話速度の増加および減少が,若年層,中年層,高齢層それぞれの声に与える影響について検討した研究を見ていきましょう。こちらの論文です(Can you hear my age? Influences of speech rate and speech spontaneity on estimation of speaker age)。

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