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ダークな性格の学生は不正をしやすいのか

「不正」というのは何を意味するのでしょうか。辞書を調べると「正しくないこと。正当でないこと」などと書かれています。

「正しい」とか「正当」というのもなかなか難しい言葉です。私たちは,何を「正しい」とするのでしょうか。

国語の入試で定規を使う

大学入試センター試験で,問題になった行為のひとつが「国語の試験で定規を使うこと」です。文章を読むときに,おそらく1行ずつしっかり読みたいからでしょうか,定規を当てて読んでいたそうです。それが「不正行為」だと判定され,全科目が無効とされたそうです。

ほかの受験生よりも,特定の受験生だけが明らかに有利な状況にある場合かつそれが不当である場合に,不正だと見なされることはよくわかります。とはいえ,定規がある方が絶対的に有利かというと,それもなかなか難しい問題です。定規などない方が文章を読みやすいと考える受験生もいそうです。

「ルールだから」「規則だから」とするのは簡単で,実施する側もルールに明記されていれば判断が楽です。その連続でセンター試験を行う際のルールは年々,膨れ上がってきているのですが,不正とは何かということをたまには考えてみたいところです。

英語表現

「不正」に対応する英単語にはいくつかのものがあります。どこまでしっかりしたニュアンスであるかはよくわからない部分がありますが,次のように使い分けるようです。

◎injustice:正しさを欠く
◎wrong:道徳に反する
◎dishonesty:人を欺く
◎illegality:法に反する

このように並べてみれば,おなじ「正しくない」という言葉でも,これらのようないくつかの種類にわけることができそうだということに気づきます。

カンニングをする人の性格

学校で生徒や学生が行う不正のなかでも代表的なものが,カンニングではないでしょうか。以前もカンニングやカンニングをしやすい性格についての研究を紹介したことがあります。

学業不正

カンニングは,広く「学業不正」と呼ばれる行為の中のひとつです。学業不正の中にもいろいろなものがあります。

◎カンニング:試験の時に参照するものを持ち込む
◎賄賂:金銭などを対価に有利な取り計らいをしてもらう
◎ウソ:課題提出などで真実とは異なることを報告
◎ねつ造・改ざん:データの創作や一部を有利になるように改訂
◎盗用:出典を明記せず自分が書いたように見せる
◎なりすまし:本人以外が試験を受ける

などなど。Wikipediaを見るだけでも,様々な種類の学業不正があることが分かります。皆さんも胸に手を当てて,学生時代を思い起こしてみてください……。

ダークな性格と学業不正

社会に迷惑をかけるような,ダークな性格は学業不正に関連するのでしょうか。この論文(Academic misconduct: An examination of its association with the dark triad and antisocial behavior)では,その関連が検討されています。

ダークな性格とは,自己愛(自分はすごい),サイコパシー(冷酷で冷淡),マキャベリアニズム(自分の利益を優先)という3つの互いに関連するパーソナリティ特性のことで,ダーク・トライアドと呼ばれています。

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