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身近な昆虫アリ

今回も『動物たちの内なる生活―森林管理官が聴いた野生の声』(早川書房)からの一節を取り上げたいと思います。

アリの種類

アリはとても身近な昆虫です。私の家の庭にも数え切れないほどのアリの巣が掘られていて,どれだけの数が活動しているのか,想像もつきません。

日本の家の庭でよく見ることができるアリの種類は,どんなものなのでしょうか。

◎クロオオアリ:1センチほどの大きさ

◎クロヤマアリ:5ミリほどの大きさ。小さめのクロオオアリに見える。

◎アミメアリ:3ミリほど。移動しながら生活する。

◎サムライアリ:クロヤマアリと同じくらいだが,クロヤマアリの巣を襲い,卵や幼虫を奪って奴隷にする。

◎ムネアカオオアリ:1センチ前後で,胸が赤い。

これらのアリは,庭で見ることができるかもしれません。子どもたちと観察をしてみたいですね。

分業

アリは女王アリの下に,共同社会を形成して生活しています。「超個体」とも呼ばれる相です。アリの巣も,地面の上から見ると小さな存在ですが,地面のなかに大きな共同体を形成しているかもしれません。

『動物たちの内なる生活―森林管理官が聴いた野生の声』には,次のような一節がありました。

 共同社会を形成する昆虫は,分業をおこなっている。以前から科学者たちは「超個体」という概念を提唱していて,それは個々の構成員が大きな全体の一部にすぎないようなありかたを指す。森においてそのような傾向を代表する典型的な昆虫は,ヨーロッパヤマアカアリである。彼らは巨大な蟻塚を作る。私が自分の管轄地で見つけた最大のものは,直径が五メートルもあった。そのなかにはたいてい数匹の女王アリがいて,卵を産み,群れを作り出す。女王アリたちは最大で100万匹に働きアリによって世話されている。社会階層の一番下は,翅のあるオスだ。オスは女王アリと交尾をするために巣から飛び立ち,そのあと死んでいく。働きアリは最長で六年という昆虫としては例外的に長い生を授かっているが,,女王アリの寿命は最長二五年,仲間たちに影をも踏ませぬ長さなのだ。といっても別に影を踏みたいわけじゃなく,アリの群れは活動できる温度を得るために,日光を必要とする。だから彼らは明るい針葉樹林に巣を作る。

p.87

巣ごとに性格

これを読んで思い出した研究が,アリの巣を研究室に持ち込んで,それぞれの巣に見られる特徴つまり「性格のようなもの」を検討した研究です。

こちらの記事に,そのおおよその内容がまとめられているのですが,女王から生まれたコミュニティですので,巣全体で何らかの特徴をもつというのはありえる話だな,と思いました。論文の内容も面白いですので,ぜひアクセスしてみてください。

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