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平等が不平等を可視化する

インターネットの普及は,情報の格差を低めてきました。以前は高価な本を買ったり,その道の専門家に教えを受けたり,海外のその場所に行かないと見ることができなかったものも,スマートフォンがあれば情報として手に入れることができるようになっています。

私が大学生の時にそういう状況は全くなかったのですから,この四半世紀の間の情報環境は本当に変化しました。コピーカードを手にして図書館に籠もって,論文を探していた学生時代がなつかしく感じます(主にこもっていたのは名古屋大学の教育学部図書館ですが)。

有料情報

とはいえ,多くの無料情報が手に入る一方で,有料の情報も数多くあります。

たとえば大学の学内LANにスマホを繋げば,世界中の論文にもアクセスできます。それは大学(の図書館)が高額のアクセス料を支払っているからですよね。アカウントが必要ですので,大学とは無関係の人が学外から無料でアクセスできるわけではありません。

学生の皆さんは学内の無線アクセスポイントに端末を繋がないと,学費がもったいないですよ。毎年結構な額が,その情報のアクセスのために支払われているはずです。出版社との契約があまりに高額で,ときどき問題になるほどです。

情報利用の格差

情報へのアクセスの格差がなくなると何が起きるのでしょうか。

それは,その情報を利用するかどうか,それよりも利用「できるかどうか」の格差が浮き彫りになるということです。

何か疑問に思った時にアクセスできる情報は多様です。すると,その非常に多くの情報の中で有用な情報にたどり着くことができるかがまず問われるようになります。真偽がよくわからないまとめサイトのようなところにアクセスして満足するか,研究者が書いた論文にアクセスするかという格差です。

そして,目の前の情報を読んで理解して応用できるかという能力やスキルの格差が浮き彫りになります。論文を読もうにも,内容が理解できなければそれは叶いません。いつもわかりやすく解説してくれる記事があるものばかりではないからです。それに解説も間違えているかもしれませんし,重要なところを見落として書かれているかもしれません。

私自身も,ときどき誤った情報を受け入れてしまいます。気をつけないといけません。

前提条件

もちろん,今の状況はそれ以前にはなかったような学習の環境や多様な学びの内容や方法をもたらしてくれました。それを利用することで,とてつもないパフォーマンスを発揮する人も出てきます。

しかしその一方で,誰もが手に入れることができる情報があふれた時に起きることは,それができる人とできない人との格差を浮き彫りにすることではないかな,と思ったのでした。

上手に使っていきたいですね。

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