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経済的不平等とダークな性格

割引あり

日本は次第に,経済的に不平等な国へと進んでいると言われています。経済格差を表すジニ係数も,日本は過去最大の数値を示しているとか。


経済的不平等

経済的な不平等は,特定の戦略を生みだしやすいともいわれています。それは,不信感や利己的な傾向です。これらは一見不適応的に思えるのですが,不平等な社会では,自己中心的に振る舞うことが適応的で,他の人々を出し抜く戦略となりえるのです。

ダーク・トライアドというパーソナリティ特性の枠組みは,ナルシシズム(自分がすぐれており他者よりも勝っているという感覚),マキャベリアニズム(自分の利益のために他者を利用する),サイコパシー(道徳観を抱かず感情を抱きにくい)という組み合わせになっており,経済的不平等で伸ばされやすい心理的な特徴に近いものとなっています。

不平等と性格

経済的に不平等な世界で育つことは,本当にダーク・トライアドのようなパーソナリティ特性を伸ばす可能性があるのでしょうか。そもそも,関連は見られるのでしょうか。また,人々は経済的な格差に直面すると,ダーク・トライアド的な戦略をよしとするものなのでしょうか。

このあたりについて,架空の世界を想定しながら調査を行った中国の研究があります。実際に関連は認められるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Paradise for the self-interested? The association between economic inequality and the Dark Triad)。

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