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知能指数と性格との関連

CHC理論と呼ばれる知能に関する理論があります。

CHCは,Cattell,Horn,Carrollという3人の研究者の頭文字をとったものです。最後の研究者であるCarrollが過去の研究をまとめ,知能の階層構造を示しました。より一般的な能力の層,より広い能力の層,より限定された能力の層,という3つの知能の層が想定されています。

Cattellは,知能を結晶性知能と流動性知能という2つの因子に分けることができるという研究で知られています。またHornは,もっと多くの因子があるということを想定していました。そしてCarrollは,CattellやHornが示したような多くの因子が,階層構造をなしていることを示していったというわけです。


第2層

第2層には多くの知能の要素が想定されているのですが,たとえば次のような内容になっています。

◎Gc(結晶性知能):語彙,知識,一般的な情報処理

◎Gf(流動性知能):思考,推理,洞察能力
◎
Gsm(短期記憶):一時的な記憶を処理・想起・利用する能力
◎
Glr(長期貯蔵と検索):保持した記憶を適切に想起する能力
◎
Gv(視空間能力):視覚的パターンを知覚,分析,操作,思考する能力

◎Ga(聴覚的処理):音のパターンを知覚し,処理・理解する能力
◎
Gs(認知的処理速度):課題をすばやく正確に処理する能力
◎
Gt(決断・反応速度):刺激に対する反応,決定の素早さ
◎
Gq(量的知識):量的情報,数的表現を操作する能力

◎Grw(読み書き能力):読み,筆記による意見表出などの能力

性格との関連

パーソナリティ特性が知能全体に関連しているのか,あるいは知能の個別の要素に関連するのかという証拠は,まだ十分に得られているわけではないようです。またそもそも,テストに取り組む労力や努力そのものが,パーソナリティに関連する可能性もあります。たとえば勤勉性の高い人ほど,知能検査に積極的に取り組むかもしれません。

そこで,労力をかけなかった人のデータを除外した上で,パーソナリティ特性とCHC理論による知能兼s名との関連を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Big Five personality relationships with general intelligence and specific Cattell-Horn-Carroll factors of intelligence)。

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