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フロイトとコカイン

映画『グッド・ウィル・ハンティング(Good Will Hunting)』をご存じですか?その後,ハリウッドで大活躍するマット・デイモンとベン・アフレックのデビュー作で,清掃員であるマット・デイモン役の若者が数学の天才で,その才能を見いだされていくというストーリーです。青年期の葛藤を見事に描いた作品と言えるでしょうか。

次回の授業は

その中に,ロビン・ウィリアムズ演じるコミュニティカレッジで教える心理学の講師が登場します(ロビン・ウィリアムズは惜しくも2014年に63歳の若さで亡くなってしまいます)。

この講師が授業を終えるシーンに,「次回の授業はフロイトのコカイン中毒について」と言う場面があるのですよね。なぜだかわかりませんが,印象にに残っている場面です。Youtubeで検索したら出てきました。ちょうどこの場面ですね。

依存症

最近,とある本を読んでいたら,フロイトのコカイン依存について書かれた一説が出てきました。『僕らはそれに抵抗できない』(ダイヤモンド社)という本です。

 フロイトは少なくとも10数回にわたってコカインの大量摂取を行い,最終的に依存症になった。コカインのない状態でものを考えたり,仕事をしたりすることが難しくなり,自分の最高の理論はコカインの影響下で花開いたのだと実感するようになった。1895年には,コカインのせいで鼻が悪くなって,損傷した鼻孔の再建手術を受けている。友人の耳鼻咽喉科医ウィルヘルム・フリースにあてた手紙では,コカインの影響について詳細に描写している。皮肉なことに,鼻のつらさをやわらげるには,また新たにコカインを服用するしかなかった。特に痛みがひどいときはコカインを水で溶いて鼻孔に塗っていたという。
 その1年後には,以前の熱中ぶりは完全に影を潜め,コカインは効能より害のほうが大きいと結論を下している。最初の出会いから12年が経った1896年に,フロイト派コカインの使用を完全にやめざるを得なくなったのだった。(p.30)

当時はコカインの中毒性についてあまり知られておらず,モルヒネなど別の中毒性の薬物の代用品としてコカインが使われていたという側面もあるようです。

また,フロイトはヘビースモーカーであったことでも知られています。結果的に,数十度にわたって腫瘍の除去手術を受けており,最後はあごを人工のものに置き換えることまでしています。

私自身も依存しやすい性質があるというのは自覚しているのですが,何に依存してしまうかはその時々の状況で大きく変わるものです。生産的な方向に依存を振り向けるといいのですけどね。

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