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直接の引用と間接の引用

そろそろレポート執筆の季節です。

レポートや論文には,「参考文献」や「引用文献」を示すことが求められます。今回はそのことについて少しだけ書いてみたいと思います。

文字どおり,文章を書くときに参考にした文献は「参考文献」,どこがどの部分からとったのかが明確なときは「引用文献」として,書いた文章の中に示します。

参考文献は……

自分自身,参考文献を示す文章を書くことになれていないのですよね。論文を書くときには「引用文献」だけを示して,参考文献を示すことはありません。というのも,参考文献というのは何をどのように「参考」にしたのかがとても曖昧だからです。

レポートなどでもできれば,この部分を何から引用したのかが明確になるように「引用」してほしいなと思っています。

どうして引用するのか

そもそも,どうしてほかの文献を引用しなければいけないのでしょうか。

レポートでも論文でも,自分が何か言いたいことがあれば,その根拠を示す必要が出てくるからです。

「明日は雨が降る」という文章があるとき,その次にどんな文章が来るかによって「雨が降る」という言葉の信頼度が変わってきてしまいます。たとえば「私はそう思う」だとそれほど信用できないように思いますし,「そう母が言っていた」だとそのお母さんが専門家なら信用できますがそうではないならそれほど信用できない感じがします。それに対して「朝刊の天気予報に書いてあった」となると,信用度は上昇します。きっと専門家がデータを元に推測しているのだろう,新聞に載っているのだからそれなりに予測は正しいのだろうと考えるようになるからです。

何かを言った時,それが何に基づくのかを示すために引用が必要になるというわけです。

直接引用

引用には直接引用と間接引用があります。

直接引用というのは,元の文献に書かれている文章や一節をそのまま変えることなく引用することです。カッコを使って「ここが引用ですよ」ということをわかりやすくしたり,改行して「この段落は引用ですよ」ということが明確になるように工夫します。そして,どの文献の何ページから引用したのかを明記します。

それに対して間接引用は,意味内容や主張内容だけを引用して,自分の言葉に書き換えて文章の中に含めていきます。そして,引用がわかるような印をつけて,リポートの最後や脚注などに文献を示します。

実際に自分が文章を書くときには,直接引用をすることはあまりなくて,間接引用が大部分です。

ほとんどの文章に引用が

心理学の論文を読むと,多くの文章に文献の引用がつけられていることがわかるのではないでしょうか。

たとえばある論文の一節です。たった3つの文章からなるひとつの段落なのですが,5つの文献が引用されています。

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ある意味で,文献を引用するというのは自分の責任を回避するという意味もあるのかもしれません。「これはこの文献で言っていることであって,自分の主張の部分ではありませんよ」と宣言しているようなものですから。

でも,これまでの研究や知識や過去の蓄積を使いながら,自分の言いたいことを主張していくテクニックでもあります。

大学に入学してきた学生のレポートを見ていると,こういう文章を書くことに慣れていないのかな,と思うことがあります。

もちろん,研究分野によって論文の書き方もずいぶん違いますので,これだけが正解ということはありません。とはいえ,文献を引用しながらレポートを書いていくことに慣れていって欲しいなと思っています。

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