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強欲さのメリットはあるのか

割引あり

強欲というのは七つの大罪にも含められる,人間にとっては根源的な欲求であり動機です。しかし,多くの人にとって強欲は避けるべきで抑制すべきものだとも考えられています。


メリットはあるのか

多くの人が強欲的な傾向を示すのに,抑制すべきと考えるのは,考えてみればなかなか興味深いことです。

では,強欲さには何かメリットはあるのでしょうか。

どんなメリット?

強欲さは経済的なメリットがあるのではと予想がつくのではないでしょうか。強欲であることは,収入の多さにつながるかもしれません。

また,進化心理学の観点からすると,強欲さというのは短期的で刹那的で,現在に焦点を当てた資源投入を行うという特徴に関連すると考えられます。このような資源の投入の仕方を「短期的戦略」と呼ばれます。逆方向の戦略を「長期的戦略」と呼びます。これらは人間だけでなく,多くの子を産んで放っておくような短期的戦略の動物と,少ない子どもを生んで大切に育てる戦略の動物のように,生物種の間の特徴も反映します。また,同じ種の中での個体差・個人差も表現します。

いいのか悪いのか

強欲が悪いという意見も,良いという意見も,多くは他の人々や社会全体に及ぼす影響に焦点を当てた議論になっています。しかし,強欲な個人にとっては自分の人生が豊かで幸福で充実していて満足できるのかという観点が重要です。

強欲な傾向は,どのようなアウトカムに関連するのでしょうか。つまり,収入や子どもの数や幸福などです。また強欲な人は収入が多いのでしょうか。また,子どもの人数は多いのでしょうか。あるいは幸福度についてはどうでしょうか。

では,実際に強欲傾向の特徴を検討している論文を見てみましょう。こちらの論文です(Greed: What Is It Good for?)。

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