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動物と人間における衝動性の男女差

あれこれ考えず,この先どうなるかを気にせずに行動する傾向のことを,衝動性といいます。衝動性には大きな個人差があって,非常に強い衝動性を示す人から,ほとんど示さない人までさまざまです。衝動性の強さは,何かをしたいと思ったら我慢することができず,ついやってしまうという感じでしょうか。

ちなみに,注意欠陥・多動症(ADHD)には,不注意,多動,衝動性という要素があります。衝動性もADHDのひとつの特徴です。


男女

男性と女性,どちらが衝動的なのでしょうか。

男性は女性よりもアルコール,たばこ,マリファナ,コカインなどの薬物を使用する頻度が高く,依存を示しやすいことも知られています。ところがその一方で,女性は飲酒の問題やアルコール依存を示しやすいということもあって,必ずしも男性ばかりが問題を示すというわけではありません。


衝動性と薬物

衝動性は,薬物乱用につよく関連しています。衝動性が大きいと薬物乱用の危険性が高くなると考えられていて,また,薬物乱用によって衝動性の変化が生じるとも考えられているそうです。

衝動性は大きく衝動的行動と,衝動的選択というふたつの要素からなるとされています。衝動的行動は,行動を抑えたりコントロールしたりすることの困難さを表します。一方で衝動的選択は,より大きく時間的に先に得られる報酬よりも,より小さく即座に得られる報酬を好む傾向のことを指します。

この衝動的行動や衝動的選択はともに,薬物乱用につながる特徴だとも考えられています。

衝動性と性差

人間だけでなく,動物にも衝動性が観察されます。人間も含め,広く動物には,男性と女性,オスとメスの間で衝動性の違いが見られるものなのでしょうか。今回は,こちらのレビュー論文を見ながら,この問題を確認してみたいと思います(Sex differences in impulsive action and impulsive choice)。

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