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タバコを巻く

私は昭和の男です。なのでタバコを吸います。

若い頃はあれこれ試していましたが、最終的に、「吸えればなんでもいい」というところに辿り着いて、長年エコーを愛煙しておりました。

エコーを吸うというのは茨の道です。それを理解していた私は、仲間であるはずの喫煙者から一段低く見られることも、安タバコを根元まで吸うくたびれた中年男の姿をさらし、本来敵である嫌煙家から哀れみの目を向けられるという扱いも、甘んじて受けておりました。

今思えば、エコーと共に過ごした歳月は、私にとって精神修行の期間だったのかも知れません。

増税に次ぐ増税で、エコーがその安タバコとしての使命を終え、販売終了となったあとは、他の安タバコ愛好家と同様、私もシガリロに走りました。シガリロとは、お酒でいうところの発泡酒、第三のビールのような扱いで、税率が低いおかげで安く買うことの出来る、タバコのようなものです。

しかし、そのシガリロすら加速する時の流れの外にはいられません。タバコ同様、今月に入り値上がりしたシガリロは、かつてのエコーと同じく、その存在価値を失いつつあります。

並の喫煙者ならば、昨今の世相や値上がりに、禁煙という選択肢を選ぶかも知れませんが、私はエコーと共に修行してきた身です。

タバコを自分で巻くという、面倒くさい選択肢を選びました。

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