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ダークな3つと明るい3つの性格の国際比較

割引あり

パーソナリティとは何か,というのもなかなか説明が難しいものです。シンプルな定義としては,「行動,思考,感情の比較的安定したパターンである」というものです。いや,シンプルな定義ですが,最近の論文ではこんなシンプルな書き出しで始まるものも多いようで。


ダークな側面

ダーク・テトラッドは,次の4つのパーソナリティ特性の集まりです。

◎マキャベリアニズム:他者に対して冷淡で,操作的で,搾取的な行動をとる
◎ナルシシズム:自分が偉大だと認識し,他者を支配する権利があると認識する
◎サイコパシー:鈍感で共感や自責感に欠け,衝動的な行動をとる
◎サディズム:他者の苦痛を見ると喜びを感じる

これらのパーソナリティ特性は社会的に望ましくないものです。しかし一方で,これらの特徴をもつ人は大きな問題を抱えることなく社会で暮らすこともできます。もちろん,これまでの研究でもこれらの持ち主は孤立や自己コントロールの欠如,不倫,仕事での不正などなど,問題も生じることが示されています。

明るい側面

ダーク・トライアドに対して,「ライト・トライアド」という3つを提唱している研究者がいるのですよね。

◎カント主義:手段としてではなく目的として他者に接すること
◎人間性への信頼:人は本質的に善であると信じること
◎ヒューマニズム:人の尊厳と価値を認めること

少し抽象的なレベルの心理特性にも思えますが,ダーク・トライアドやダーク・テトラッドが示す,他の人の軽視や搾取とは逆方向の特徴のように見えます。この3つを測定するLTS(Light Triad Scale)という尺度も開発されていて,ポーランド語,セルビア語,トルコ語のバージョンもあり,ブラジルでもこの尺度が使われているようです。

ダークとライト

ダーク・トライアドとライト・トライアドは対極に位置するように見えますが,単に対立するものではないそうです。ダーク・トライアドが高いことは,単にライト・トライアドが低いことを意味するのではありません。

両者の関連はどのようになるのでしょうか,また複数の国で調査をしたらどうなるのでしょうか。こちらの論文では5カ国にわたって検討されていますので,確認してみましょう(Dark and Light Triad: A cross-cultural comparison of network analysis in 5 countries)。

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