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リスクを取る程度を測定する

次の文章について,どれくらい「そうだ」と思いますか?

◎安全がとにかく第一に重要だと思う
◎自分の健康に対してできるだけリスクを冒さないようにしている
◎できればリスクを避けたい
◎定期的にリスクのある行動をする
◎何が起こるかわからない状態は嫌だ
◎リスクがあるということは挑戦するということだ
◎自分はリスクを避ける人間だ

傾向と認知

人々が普段の生活の中でどれくらいのリスクをとる傾向があるのかは,リスクをとる傾向と,リスクを認知する傾向によって左右されると言われます。

リスクをとる傾向は,さまざまな気質やパーソナリティ特性,認知的な反応,過去の経験によって影響を受けます。またリスク認知は,リスクに関する個人の主観的な評価や解釈のことを指します。

私たちは毎日,素早くリスクを判断しなければならない場面に遭遇しています。道を歩いていてもさまざまなリスクに遭遇しますし,投資をしていればいま買うべきなのか売るべきなのかリスクの判断に迫られます。また,健康に関する判断も重要です。リスクをとる傾向が高い人は,日焼け止めを塗らずにどんどん日光のもとに出かけていき,後先を考えずに飲酒をし,さらなる危険に身を晒していくかもしれません。

リスクテイキングの測定

リスクをとる傾向を測定する尺度は,これまでの研究の中でもいくつも作られてきていますが,この記事の冒頭に示したようなシンプルな尺度も作成されています。なお,最初に示した質問項目は日本語にする際にずいぶんアレンジしてありますので,もとの尺度そのものではありません。

この尺度はリスク傾向尺度(RPS)と呼ばれるもので,たった7項目で構成されています。回答は9段階で回答する形式なのだそうです。もともと英語版の尺度なのですが,今回紹介する論文はイタリア語版を作成するものです。

こちらの論文を見てみましょう(How to Measure Propensity to Take Risks in the Italian Context: The Italian Validation of the Risk Propensity Scale)。

調査は,平均年齢32歳の199名(67%が女性)が参加しています。オンラインで調査が行われました。

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