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なつかしい気分と消費行動の関連

割引あり

ノスタルジックな感情を抱くことはあるでしょうか。わたしの場合,以前,久しぶりに前任校を訪れたときに,強くノスタルジックな感覚を抱きました。自分の30代を過ごした職場で多くの思い出がありますし,そのときは十年ぶりくらいにキャンパスを訪れたのでした。「なつかしいな」と強く思った経験も久しぶりでした。


消費との関係

「なつかしい」という感情であるノスタルジアは,消費活動にも影響すると言われています。近年,マーケティングの世界でノスタルジアが注目されていて,研究も急増しているとか。

CMや広告でも,ノスタルジックな要素を入れることはありますよね。うまくノスタルジックな要素を入れて,人々に「なつかしい」と感じさせることは,売り上げを促進し,収益を増加させ,ブランディングを強化させます。

一貫性

しかし,ノスタルジアが実際に消費者行動に影響するのかどうかについては,研究の中ではあまり結果が一貫していないようです。多くの研究では,ノスタルジアが消費に影響するという結果が得られている一方で,いずれでもないという結論を示す研究も,否定的な効果を示す研究も存在しています。

実際に,ノスタルジアと消費行動とのあいだには,どのような関連があるのでしょうか。メタ分析で検討したら,どうなるのでしょうか。

快感・継続・態度・意図

消費活動といっても,多くの側面があります。たとえば,実際の購買行動との関連です。ノスタルジックな傾向が高い人のほうが,ものを買うのでしょうか。また,ものを買ったときに,ポジティブな感情を抱くことはあるのでしょうか。

さらに,ノスタルジアは消費を継続する傾向に関連するのでしょうか。ノスタルジックな感情は,単に一度の消費ではなく,継続して購買することは商売をする側にとっては重要です。そのためには,消費者の自己のとらえ方自体にノスタルジアが影響するかどうかを検討することが重要です。

さらに,ノスタルジアが消費者の購買への態度や行動の意図にも影響するかどうかという観点も重要です。

では,メタ分析では,どのような研究知見が得られるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(A meta-analysis on the psychological and behavioral consequences of nostalgia: The moderating roles of nostalgia activators, culture, and individual characteristics)。

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