先延ばしは普遍的
全国で卒論や修論の提出がすでに来ていたり,迫っていたりするのではないでしょうか。皆さん頑張ってください......。
それにしても,大きな課題がずっと先の方に設定されるとギリギリまで終わらなくて焦る,というのは毎年の風物詩としか言いようがありません。
先延ばし
心理学では「計画錯誤」とか「先延ばし」というキーワードで、このような現象が研究されています。
ひとつは,計画を立てることが難しかったり,見通しがつきにくかったりすることがあるのだと思います。取り組んだことがない大きな課題が時間的にずっと先の方に設定されると,その完成に向けてのステップが想像できず,計画を立てるのに失敗しやすくなるように思います。
先延ばし特性
また,先延ばしをしてしまう心理特性についても研究されています。そのものですが「先延ばし特性」と呼ばれていたりもします。先延ばし特性については,私の本の中でも取り上げました。
対処法
こういうとき,どのような対処のしかたがあるでしょうか。
ひとつは,遠くて大きな目標を,近くて細かい目標に組み替えてみるのが効果的なようです。大きな目標のステップを細かく分けるイメージです。
卒論について,そういうことをするための本を書いたりもしたのですが,結局毎年同じことの繰り返しがいたるところで見られるようです。ステップに分けても皆がその通りに進むわけではありませんので,個別のバリエーション対応というのは難しい問題です。
もうひとつ効果的なのは,言葉にして宣言することのようです。「これをする」とSNSに書き込んでも良いですし,友人に言っても良いでしょう。卒論だと,たまに発表が回ってくるよりは,細かくなんども計画や作業について報告して言葉にすることが良いかもしれません。
就活
ゼミの進め方は色々な方法があると思うのですが,毎年試行錯誤です。よりよい運営方法がないか,毎年模索しています。
それに拍車をかけるのが就活期間ですよね。就活中にも少しは研究のことを考えたり作業してくれたらいいのですが,どうしても就活中は就活の方に集中しないとやっていられないようなのです。人生を決める大きなイベントですし,とにかく大きな心配ごとですし,注意がそちらにとられてしまう気持ちも分からなくもありません。卒論どころではありませんよね。
そして就活時期も毎年変わっていきますし,景気によっていつごろ就職が決まっていくかという時期も,毎年変わってきます。こういうこともあって,授業の計画も立てづらい状況が続きます。これも毎年の悩みです。
いや,毎年の繰り返しだと思っているのは自分だけです。学生は毎年,卒論も就活もはじめての経験なのです。それがまた,教員と学生の認識のズレを生み出しているように思います。
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