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面白い方法に惹かれる

何気なくあれこれと論文を眺めていて,「おっ!」と注意を引かれるひとつの要因は,面白い方法を使った論文を見かけた時です。

でもそれは,他の研究者にとっても「面白い」とは限りません。たとえばそれは,他の研究分野であれば当たり前の方法であるかもしれないからです。

面白いとは

その方法が面白いと思える条件にはどういうことがあるのでしょうか。ひとつは,自分の研究分野ではあまり使われていない方法であることです。やはり,自分にとっての目新しさがひとつの条件になると言えるのではないでしょうか。

それから,その方法を自分の研究に応用できそうだという見通しも重要ではないかと思います。それは必ずしもすぐに自分の研究に応用できなくても良いのです。「いつかそのうちそういう方法を使えると,研究の展開が見込めそうだな」と考えると,その方法が魅力的に思えます。

絵の具の使用

さて,たまたまあれこれと論文を見ていた中で,ふとそんな研究を見つけました。「色彩好悪と絵具の使用量に関する一考察」というタイトルの論文です。

この論文は,どの色が好きか・嫌いかを調査するものです。絵画の教育をする上で,形を描くデッサンは注目されることが多いのですが,色の使い方についてはあまり重視されない傾向があるのだそうです。そして,各個人によって,どの色を使うかは偏りが見られるのだと書かれています。

絵の具の量

そこでこの研究では,それぞれの色に対する好き嫌いを調査しているわけですが,その主観的な好き嫌いと関連を検討しているものが面白いと思ったのでした。

それは,学生たちが実習の中で実際に使った絵の具の量です。一年間の授業が終わったところで,各個人の絵の具のチューブをグラム単位で測定することで,使った絵の具の量を測定しています。

正直,色の好みと使った絵の具の量との関連の結果については,あまりパッとしたものではありません。そこは少々残念に思ったところなのですが......。

でもそれ以上に,「そうか,こういう時には絵の具のチューブを実際に測ってしまえばいいんだ」というちょっとした「気づき」が得られただけでも,この論文を読んだ価値があったと思えるのです。

......少々マニアックな内容だったでしょうか......。

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