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実際にはどんどん変わるのに未来は変わらないものだと感じてしまう

それにしても,今年3月からこれまでの世界の変化は,これまでに誰も経験したことがないようなものでした。その渦中にいると,不思議なことが起こるものだと感じることがあります。

新型コロナウィルス国別の感染者数の経緯をグラフで見ると、やっとその当時のことを思い出します。そうそう,2月の段階では,まったく日本に危機感はありませんでした。

おそらく2月の自分に「4月はこうなっていると思うよ」と伝えても,「本当かなあ」と疑うことでしょう。きっと,「そこまでひどいことにはなっていないよ」と感じることでしょう。実際おそらく,2月に将来を予想したとき以上に,この2ヶ月あまりは大きな変化が起きています。

また,実際にそれを経験すると「それほどでもない」と感じてしまいます。2月の段階で4月の未来の様子を見せることができたら「信じられない」と言うことでしょう。でも,実際に自分たちが経験すると,それほどでもないと感じてしまう。とても不思議なことです。

どうも私たちは,実際には大きな変化が起きているのに,それを過小評価しがちな傾向があるようです。

実際には,自分自身には過去に大きな変化が起きているにもかかわらず,これから将来にはそれほど大きな変化が起きないだろうと感じてしまいます。いや,もちろん,過去に自分自身は大きく変わったということは認識できるかもしれません。ところが,これから先にはそれほど大きく変化しないだろうと感じてしまうものでもあります。

こういった認識の癖のことを,「歴史の終わり幻想」(End of History Illusion)と言うそうです(The End of History Illusion)。

1万9千人のサンプルから,実際にはパーソナリティや価値観や好みが過去には変化しており,その変化はその後の年代でも続いていくにもかかわらず,多くの人々は「今後は変わらない」と感じてしまうことが示されています。

何歳であってもおおよそ,「今が固定点で今後はかわらないものだ」と考えがちなようです。

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