自尊感情と抑うつの可能性のある関係性

相関関係と因果関係は違う，ということはよく言われます。

世の中にある「関連」の大部分は，因果関係ではありません。さらに，偶然関連があるように見えることも多々あって，私たちを惑わします。

偶然の関連でよく知られたサイトは，このSpurious Correlationです。特に，「ニコラス・ケイジが映画に出演した本数」と「プールに落ちた溺死者数」との相関係数が0.667もある，という関連は，ばかばかしくて面白い例です。

15 Insane Things That Correlate With Each Other

疑似相関？偶然の相関？

「疑似相関」という言葉もあって，この「偶然の相関」と紛らわしい使われ方をします。

疑似相関は，あるものと別のものとの関連の背後に，影響を及ぼす共通した第3の変数が存在するときに使う言葉です。たとえば，アイスクリームの売り上げと海での死者数との関連です。この場合，背後に「気温」とか「季節」といった要因があって，気温が高いことでアイスクリームが売れ，海での死者も増えるという関係が生じます。

ニコラス・ケイジの映画出演本数とプールでの溺死者数の背後に，共通の要因があるとは思えませんので，これは疑似相関でもなく，単なる「偶然の相関」だというわけです。

ただし，「偶然の相関」だろうと思っていたところに，背後に共通する変数が見つかることで「疑似相関になる」ということはあり得ます。くどいですが，ニコラス・ケイジの映画出演本数とポールでの溺死者数の背後に共通した何があるのか，考えてみてはどうでしょうか。

データ分析の力　因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

自尊感情と抑うつの関係

さて，こんな「関係性」の可能性について考えた論文があります。低い自尊感情は抑うつ傾向に関連するのですが，それがどのような関係性なのかを考察した論文です。どのような関係の可能性があるのか，見てみましょう（Understanding the Link Between Low Self-Esteem and Depression）。

Understanding the Link Between Low Self-Esteem and Depression on JSTOR