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日々是好日・心理学ノート

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2022年10月の記事一覧

人生の目的と物忘れ

生きがいのある人生とは何でしょうか。 いくつかの要素があると思うのですが,自分の人生に何らかの目標を抱くこと,自分の人生の中で「これをやろう」とする原動力が存在すること,そしてどこかの方向に向かっていると感じること,などです。 このような要素は全体的に,人生の目的についての意識を持つこととされています。そしてこの人生の目的意識は,成人期における健康状態の改善に一貫して関連していることが報告されています。また,加齢に伴う認知的な低下を予防するような働きも,人生への目的意識を

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子どもたちの才能を見つけることはできるのか

「才能」とは何なのでしょうか。何を意味するのでしょう。 ある特定の分野で傑出した能力を発揮することを「才能」と呼ぶかもしれません。しかし,結果的に何か突出した結果を残したときに,あとづけで「才能がある」と評価することも多いのではないでしょうか。 しかし,子どもたちは最初から何かの成果を残すわけではありません。子どもたちの様子を見て,いったい将来何を成し遂げることになるのか,予測ができると一番良いのですが…… 今回は,子どもたちの才能についてどのように考えたらよいのかを検

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人間全体を2次元で捉えるモデル

アボットの『フラットランド』という本をご存じですか?もとは1884年にイギリスで出版された本で,これまでに何種類かの日本語訳が出版されています。 私が最初に読んだのは,講談社のブルーバックスだったのではないかと記憶しているのですが……。ああ,これです。『二次元の世界―平面の国の不思議な物語』というタイトルでした。古書は価格が高騰していますね。 この本は,二次元の平面世界に生活している人が世界をどのように見るのか,そしてそこに三次元から物体がやってきたらどのように見えるのか

インドのスラムに住む人の幸福感

生活満足度という指標があります。これは,生活全体や特定の生活領域の質に対して認知的に評価をすることで,「満足している」と感じる傾向のことを指します。 生活全体の満足度は,心身の健康や長寿,社会的関係,向社会的行動,仕事の質など,さまざまなものに関連するとされています。ウェルビーイングを考える上でも,非常に重要な指標のひとつです。 生活満足度という指標は,個人にとっても大切なのですが,政策立案者など人々をまとめる立場の人たちにとっても重要な指標です。過去数十年にわたって,多

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性格の「Big One」

人間の性格(パーソナリティ)特性が,知能のようにひとつにまとまるのではないか,という議論は100年以上前からあります。 1915年,Webbは知能とパーソナリティの因子を探す試みの中で,一般因子(g)と同じような一般的なパーソナリティ因子を見つけました。そして,この因子は意志や意志から生じた行動の一貫性を表すと考えて「w」と名づけました。「will」の頭文字です。 21世紀それから約100年くらい経って,21世紀に入った頃に,パーソナリティの統合因子(General Fa

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子どもを平手打ちすると何が起きるのか

子どもが言うことを聞かないときに,つい平手打ちをしてしまったり,頭をゴツンと叩いてしまったり,お尻をひっぱたいてしまったり……いわゆる「体罰」なのですが,これは世界中で見られる行為だそうです。 UNICEFの調査によると,世界中の約8割のこともは,親からお尻を叩かれたりその他の体罰を受けた経験をもつそうです。子どもが良くないことをしたり,言うことを聞かなかったときに,親がそれを正すために体罰を用いるのかどうかと言う問題は,世界中で議論の対象となるものです。 研究結果これま

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健康な100歳の人々の性格

年齢を重ねてくると,平均余命が気になってきます。「自分はあとどれくらい生きることができるのだろう」という問題ですね。 平成の後半くらいになってきた頃,「男女とも,おおよそ3分の2が75歳以降に亡くなっている」と言われていました。死亡者の年齢のピークは,80歳を超えてくるのですよね。平均寿命で見るデータと,別の観点で見るデータとでは,ずいぶん違った印象をもたらします。 サクセスフル・エイジング単に年齢を重ねるだけではなくて,うまく老いること,生き生きとした生活を過ごすこと,

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研究への自己効力感がもたらすもの

自己効力(self-efficacy)あるいは自己効力感は,心理学のなかでも良く研究されている概念の一つです。自己効力というのは,何らかの活動について「うまくいくだろう」「やればできる」と期待する傾向のことです。 自己効力については,仕事や学業に関する研究が多いのではないでしょうか。「仕事をうまくこなすことができるだろう」とか「いい成績をとることができるだろう」と,将来自分が関わる問題について,よい結果を期待して,「やればできるはず」と感じることが自己効力です。 研究への

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劣化したコピー

治療薬や治療行為の効果を検証することを考えてみましょう。たとえば,風邪をひいたときに薬を飲みます。風邪ですので,放っておいてもたいていは治っていきます。そのようなとき,薬の効果はどのように示されるでしょうか。放っておいて治るよりも,どれくらい早く治すことができるか,ですよね。 もっと重大な病気の治療のことを考えてみましょう。放っておくと死に至ってしまうような病気です。この場合,その治療をすることで,できれば死を免れることができれば最高です。しかし,単に「5か月後に死に至るの

さまざまな文化に依存する創造性

創造性というのは,それまでにない何か新しいものを作り出すという活動のことを指す言葉です。研究の中では,他の人が思いつかないようなアイデアをどれくらい思いつくか,といった観点から創造性(拡散的思考とも言います)の測定が行われます。 しかし,現実の創造性は「思いつく」だけではダメなのですよね。実際に何かの役に立ったり,これまでの生活を変えたり,大きく方向性を変えるような新しいアイデアや仕組みを考えると「創造的だ」と評価されるのではないでしょうか。 文化の問題ということは,創造

子どもの頃の有害な体験はどれくらい性格に関連するのか

子どもの頃のネガティブな経験は,大人になってからどのような影響を及ぼすのでしょうか。 身体的な虐待や精神的な虐待,ネグレクト,性的虐待など,トラウマになるような出来事は,境界性パーソナリティ障害や反社会性パーソナリティ障害,早強区政障害,統合失調スペクトラム障害,うつ病,不安障害,アルコール依存など,さまざまな精神疾患の原因になり得るものとして考えられています。 性格との関連幼い頃の有害でネガティブな体験と精神的な問題との間の関連は,昔からよく指摘されています。しかし,病

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知能全体で男女の差はないけれど

男女で知能に差があるのか,という問題は根強く研究されるテーマの一つのようです。実に100年以上,男女の違いが研究されていると言われています。 知能だけでなく心理学的な変数の多くの場合,男女で平均値の差を検討したとしてもそれほど大きな「差」が見られるわけではありません。平均値の差を標準偏差を基準に示した値を効果量といいます。 身長の効果量はだいたい「2」くらいの値になるのですが,心理学的な変数の多くの場合,男女の差は「2」どころか1を割り込んでくることも多く,「0.2」とい

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非認知能力は認知能力よりも本当に重要なのか

20世紀初頭にフランスで知能検査が開発されてから,知能検査の結果を使った研究は世界中で行われてきました。なかには多くのサンプルを対象とした長期縦断的な研究も行われており,知能検査の結果がよい人はよくない人に比べて,さまざまな面で社会的に恩恵を受けることが示されてきています。 たとえば学業成績,学歴,収入,健康,そして寿命などです。このように,実際に社会のなかで「望ましい」結果をもたらすような心理学的特性は,「役に立つ」そして「向上させるべき」特性として研究だけでなか卯社会的

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ダークな特性と性格の統合因子との関係

パーソナリティ全体の構造がどのようになっているかという問題は,20世紀を通じてさまざまに研究されてきました。20世紀の終わりくらいにかけて,ビッグ・ファイブ・パーソナリティが研究者たちのコンセンサスを得るようになってきたのですが,21世紀に入ってからもまだまだ研究は続いています。 上位因子20世紀末頃から21世紀にかけて,「ビッグ・ファイブ・パーソナリティの上位の因子には何があるのか」という研究も行われてきました。 たとえば1997年の論文でDigmanは,情緒安定性(神

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