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日々是好日・心理学ノート

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2021年6月の記事一覧

2021年6月のまとめ

2021年も半分がすぎようとしています。この半年間,皆さんの生活はいかがだったでしょうか。7月はいよいよオリンピックが予定されています。この前後で,国全体の雰囲気がどう変わるか,といったことにも興味があるところですね。 順位の変動さて,このnoteの記事へのアクセスを見ていて,面白い結果が出てきたのでそのことについてまず触れてみたいと思います。 私がことまで書いた記事の中で,全体をとおしてずっとアクセス数が1位だったのは,『遺伝率が8割ということは両親の身長で子どもの身長

燃え尽きてしまう先生に特有な性格はあるのか

日本でもどこの国でも,教師という職業はとても重要な職業だと考えられています。ところがその一方で,アメリカやイギリスやオーストラリアなど,教師の人数が不足していると考えられている国も多いそうです。 日本の教育現場の疲弊している状況についても,たびたび報道されますよね。たとえば『日本の教師は世界一忙しい。データを読むときは何に注意して、どこに注目するとよいか』という記事では,日本の教員が長時間労働に従事しているだけでなく,自己研鑽に費やす時間も少なく,子どもたちの思考力を引き出

嘘つきで自信過剰でお人好し

今回も,本を紹介したいと思います。『われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか 進化心理学で読み解く、人類の驚くべき戦略』というちょっと長いタイトルの本です。 この本のテーマは進化心理学です。わたしたちが人類の歴史のなかで,どのような心のシステムを身につけてきたのか,そのシステムがどのように働いているのかを解説する内容になっています。 目次は次のとおりです。 第1部 われわれはどのようにヒトになったのか  エデンからの追放,出アフリカ,作物、都市、王様―農業シフトが

開放性を高める方法はあるのか

まずは,次の課題を行ってみましょう。 いかがでしょうか。どんな出来事が思い出されましたか?「なつかしい」経験というと,いつ頃のことを思い出すでしょうか。 開放性ビッグ・ファイブ・パーソナリティのひとつである開放性(Openness)は,空想にふけること,芸術や学問に関心を抱くこと,自分の感情を意識して言葉に表現すること,これまでにしたことがない新しい体験に興味をもつこと,アイデアを練ることや新しい考え方が好き,権威やしきたりにこだわらない,といった特徴を表すパーソナリティ

あなたはこうしてウソをつく

今回も本の紹介をしたいと思います。『あなたはこうしてウソをつく』というタイトルの本です。リンク先にあるように,岩波科学ライブラリーのシリーズの一冊で,「300」と書かれていますから300冊目ということでしょうか。 ウソ研究ウソをつくことに関しては,人々はそれぞれ,「こういうものだろう」と考えていることがあると思います。しかし,その中には実際に研究をしてみるとそうではない(それこそ「ウソ」)もありますし,思わぬところで実はこういうことだった,という研究結果になっていることもあ

楽観的な国はどこなのか

人々がいちばん楽観的な国はどこだと思いますか?ちょっと予想してみてください。それから,日本はどれくらいだと思うのでしょうか。それなりに楽観的な尾鷲とが多い国だと思うか,それとも悲観的な人が多いと思うかです。 楽観性楽観性というのは「ポジティブな結果を期待する」ことです。その反対に,ネガティブな結果を予想してしまうことは悲観性といいます。 楽観性の高さは精神的な健康だけでなく,さまざまな「よい結果」につながることがこれまでに明らかにされています。 世界の楽観性では,世界6

緑にはよい効果がある

今回は,アメリカ心理学会(American Psychological Association)の『Green is good for you』という記事を紹介したいと思います。「緑はあなたによい効果をもたらす」というものですよね。どんな良いことが起きるのか,内容を確認してみましょう。 記事はこちらです(Green is good for you)。 研究室からみる風景記事では最初に,研究室を変えたときに,以前には殺風景な景色しか見えなかったのに,変わった後は自然がよく見

外向的な人は新型コロナに罹りやすい?

環境が大きく変わると,それまでは適応的だと思われてきた特徴が,不適応的になってしまうことがあります。 池の中におたまじゃくしが泳いでいると想像してみましょう。おたまじゃくしの個体によって,広い範囲を探索するものと,じっと同じ場所にとどまって探索しないものがいます。探索範囲が広い個体のほうが狭い個体よりも,多くの餌を手に入れる可能性がありますし,新しい世界へと踏み出していく可能性もあります。 ある日,突然その池に人間が現れて,半分に仕切ってしまいます。そして最初に卵が産み落

環境保護に関連する性格はどれか

地球温暖化の影響で,北極にある海氷が予想よりも早いペースで少なくなってきているそうです。 地球温暖化に限らず,環境に配慮した行動にはさまざまなものがあります。皆さんは日常生活の中でも,何か意識して行動しているでしょうか? 環境に配慮する性格環境に配慮した,環境に良さそうな態度や行動をとることは,何か性格に関連したりすることがあるのでしょうか。実は海外では,よく行われる研究だったりします。 ビッグ・ファイブ・パーソナリティだったら,どの側面が環境に配慮した態度や行動に関連

後知恵バイアスは年齢によって差があるのか

南極にあるいちばん高い山の名前は,ヴィンソン・マシフ(Vinson Massif)と言うそうです。ご存じでしたか? ところで,このヴィンソン・マシフの標高は何メートルくらいだと思いますか?直観でよいので,何メートルかを考えてみてください。 後知恵バイアス何かの物事が起きたあとで,最初からそれが予想できていたと感じる認知的な歪みのことを,後知恵バイアス(hindsight bias)といいます。 この記事の冒頭にも書いたのですが,私自身,後知恵バイアスを強烈に感じる出来事

人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?

今回も,脳神経科学や心理学に関連する小ネタが満載の本を紹介したいと思います。『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?』というタイトルの本です。 著者はイェール・ニューヘイヴン・ホスピタルに勤務する神経科医, Eliezer Sternbergです。 そっくりのタイトル実は,この本にそっくりのタイトルの本を以前に読んだことがあります。『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』という本です。似ていますよね?こちらの本は,実際にアブダクション(宇宙人による誘拐)を主張する人たちが「

ジングルとジャングルができあがるまで

Jingle-Jangle Fallaciesという言葉があります。日本語にするのはとても難しいのですが……「ごちゃ混ぜの誤謬」とか「ジングルジャングルの誤り」とか。 ジングル・ジャングルこのJingle-Jangle Fallaciesは,英語版のWikipediaにも項目が掲載されています。 短い記事なのですが,次のように書かれています。 ジャングルの方は本来同じものであるのに異なる名前がつけられてしまっていること,ジングルの方は本来異なるものであるのに同じ名前がつ

ランキングと測りすぎ

以前,『測りすぎ―なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?』という本の紹介をしたことがあります。 ランキングそして最近,『ランキング―私たちはなぜ順位が気になるのか?』を読んだ時に,『測りすぎ』の話題が出てきたのがちょっと面白かったのでした。 タイミングちょうど『ランキング』を執筆しているときに,同じようなテーマを扱っている『測りすぎ』が出版されたのだそうです。論文でも本でも,同じようなものが出たことがわかると,著者としては焦りますよね……。私も似たような経験をしたことがあ

噓をつくこととこころの理論獲得との関連

噓の定義って,何でしょうか。ここには広い意味と狭い意味と,両方がありそうです。 広い意味としては,「本当でないこと」「事実を曲げてつくったこと」といった意味です。事実とは違うことが「噓」ということですね。この意味には「意図」は含まれません。 そしてもう少し狭い意味としては,ここに「相手をだまそうとする意図」が含まれます。 意図の有無この2つの違いは大きいと言えます。たとえば,親はよく子どもに対して「噓をついてはいけません」と言います。しかし,お呼ばれされた先で出されたお