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日々是好日・心理学ノート

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2020年8月の記事一覧

2020年8月のまとめ

今年の夏休みは,子どもたちの夏休みスケジュールがバラバラで,コロナウィルス感染症の広がりもあって帰省も遊びにも行くことなく過ごしていました。いま家には小学生,中学生,高校生と揃っていますので,スケジュールを合わせることがますます難しくなっています。 今年のような出来事が起きたときに,家庭がどのような状況になっているかというタイミングが,日々の体験も出来事の印象も大きく変えていくのだろうなと想像します。そういったことは,こちらの金子書房の企画にも書いたことです。 よく読まれ

アメリカの大学入試SATは知能検査がもとになっている

以前,『どうして入試に知能検査を使うべきなのか(という今から約95年前の意見)』という記事を書いたことがあります。 今から約100年前,何人かの学者が「子どもたちに無理に入試の勉強をさせるのは発達によくないから,知能検査(当時はメンタルテスト)を使うべきだ」と主張していました。 その主張の背景にはいくつかの要因があると思うのですが,私が思ったことは,入試問題の違いについてです。現在,学力試験でも多肢選択問題や穴埋め問題などが出題されるのが当たり前になっていますが,そういう

日本の少子化対策はなぜ失敗したのか

今回も本の紹介です。 『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか? 結婚・出産が回避される本当の原因』です。 日本が少子化だということは,もうあらためて言われなくても皆が認識していることです。第二次ベビーブームのときには200万人を超えていた1年間の出生数が,現在では90万人を割り込んでいます。そして,その「200万人」世代というのはまさに私の世代なわけで,すでに50代に手が届こうかという年齢になっています。 もしもその「200万人」世代が,自分たちと同じように子どもを生む世

コロナウィルスを恐れるインドの人々の研究

コロナウィルス感染症が広まって,心理学でもさまざまな研究が行われるようになっています。 こういった予想できないような出来事が起きるとつきものなのが,この未知のものへの恐れが他の恐れる気持ちに結び付くことです。たとえば,移民や外国人を恐れたり排除しようとする気持ちです。 今回紹介する研究はインドで行われたものなのですが,外国人恐怖にも触れられています。特にムスリムの人々に対する恐怖というのは,インドでも欧米でもよく見られる現象のようです。そして,このような排斥は,時に集団を

歯医者でコロナウィルスが感染りそう?

住んでいる場所の身近でコロナウィルス感染症の報告があると,人々の行動が大きく変わります。 最近では,医療関係の窮状が報道されることも増えています。『新型コロナの影響で全国の3分の2の病院が赤字転落』という記事もありますが,新型コロナウイルス感染症の患者さんを受け入れている病院だけでなく,多くの病院が赤字になっているとのことです。 なぜなら,基本的に多くの人が気軽に病院に行こうとしなくなっているから,ですよね。私自身,病院に行くのを避けようとしてきましたし,健康にも怪我にも

ダークな人々の日々の感情

私たちが日常的に抱く感情として,なんとなくポジティブな感じと,なんとなくネガティブな感じというのは,とても基本的なものです。 もちろん,もっと細かく分けていけばさまざまな感情があります。「喜怒哀楽」という言い方がありますし,基本6感情という枠組みもあります。基本6感情は,「怒り」「嫌悪」「恐怖」「喜び」「悲しみ」「驚き」の6つです。 東洋では昔から「七情」という枠組みがありました。たとえば仏教だと「喜」「怒」「憂」「懼」「愛」「憎」「欲」の7つなのだそうです。 昔から,

時代によってどの社会階層に所属するかと幸福感の関連が変わる

社会のなかでの成功とは,何を指すのでしょうね。お金を稼ぐことでしょうか,人がうらやむような職業に就くことでしょうか,人よりも上の立場に立つことでしょうか,それとも長生きすることでしょうか。 それよりも「幸せに生きること」というのはどうでしょうね。必ずしも,社会的な成功が幸せに結びつくわけではない,というのは多くの人が感じていることではないでしょうか。 でも,その一方で「収入が多いほど幸せなのだろうな」と想像する場面も多そうです。実際,どうなのでしょうか。 時代によって幸

燃え尽きてしまう教師になりやすい性格はあるのか?

ビル・ゲイツの財団が行っている,MET(Measures of Effective Teaching)プロジェクトがありました。このプロジェクトは,教師を評価する指標を見つけ出し,教師の質を向上させることで効果的な教育を子どもたちに提供しようとするものです。 このプロジェクトには3000人の教師が参加して,教育の効果が検討されています。教室での観察,生徒の認識,そして生徒の学力の向上という3点が,教育の質を評価するという観点からは重要だということが示されています。 燃え尽

ルービックキューブを解くことは知能指数に関連するのか

タイトルのとおりなのですが,今回は残念ながら,特にそういった関連を示す研究があるというわけではありません。ちょっとこの問題について,あれこれと考えてみようという試みです。 というわけで今回は, ◎ルービックキューブを速く解くことができる人というのは,知能指数が高いのか という問いについて考えてみます。 研究はあるのか?「Rubic's cube」や「IQ」「intelligence quotient」などで論文の検索をかけてみたのですが,どうもルービックキューブのパフ

普段から腕時計を付ける人の性格は真面目なの?

普段から腕時計をしていますか? 私も以前は腕時計をしていたのですが,最近はスマホを持つようになって,パソコンを拓いている時間も長いので,時間を確認する手段が変わってしまった印象があります。ファッションにあまり興味がないので,ますます腕時計をするモチベーションが失われていきます。 そうそう,夏場に腕時計をずっとつけていて気になるのは,臭いがしてくるときです。そういう面倒を考えると,「もういいか」という気分にもなってしまったり。 でも,スマートウォッチなど面白いガジェットな

性格とは何かーーより良く生きるための心理学

2020年8月20日に『性格とは何か』が発売になりました。今回はこの本の紹介と,執筆の裏話を書いてみたいと思います。 内容本書の内容ですが,全体的には性格を巡るよくある疑問に対して,「こんな研究がある」と紹介しながら答えていく内容となっています。たとえば…… ◎赤ちゃんに性格はあるのか ◎性格は何歳で完成するのか ◎大人になっても性格は変わるのか ◎国によって性格は違うのか ◎県民性のような国内の性格の差はあるのか ◎性格は時代で変わるのか ◎社会の変化に合わせて性格も変

上手く教えることに性格は関係するのか

何かをするときに自分が教えることに向いているかどうか,というのは人生の中のどこかで実感することはあるのでしょうか。 私の場合のきっかけは,大学に入ってから手渡されたチラシを見て何気なく始めた塾講師のアルバイトでした。バイトを始めて最初のころ,先輩の授業を見てとりあえず見よう見まねで授業をする研修があります。そこで授業をしたときに,私の授業を見ていた先輩の講師が「いままでどこかで授業していたの?」と言ったのですよね。自分としては真似をしただけなのですが,なんだか授業に向いてい

比べられないものを比べる

私たちは,つい何かと何かを比べてしまうものです。「一番すごいのはどれ?」「一番強いのは?」「一番速いのは?」「一番賢いのは?」といったようにです。 ちなみに「世界一」を集めたものと言えばギネスブックですが,もともとビール会社のギネスの社長がはじめたものですよね。パブのプロモーションのために一番を集めた書籍を作り始めたとか。今では独立した会社になっていますが……ギネスビールが飲みたくなってきました。 比べるのが好きさて,ネットの記事でも,ランキングものというのは定期的に出さ

レジリエンスは成長を助ける場合とそうではない場合がある

論文を見て,たまに「こういう枠組みで研究することができるのか」と,感心することがあります。 そういう時に思うことは,「いったん思いついてみれば,『最初から思いついていた』と思ってしまうものだ」ということです。 今回の研究もそういった感想を抱いたもののひとつです。でも,じゃあ同じ研究を真似することができるかというと,そういうわけにもいかないのですが。 レジリエンスとPTG困難な状態に直面していったん落ち込んでも,そこから回復する現象や回復に影響する心的な状態のことをレジリ