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ルービックキューブを解くことは知能指数に関連するのか

タイトルのとおりなのですが,今回は残念ながら,特にそういった関連を示す研究があるというわけではありません。ちょっとこの問題について,あれこれと考えてみようという試みです。

というわけで今回は,

◎ルービックキューブを速く解くことができる人というのは,知能指数が高いのか

という問いについて考えてみます。

研究はあるのか?

「Rubic's cube」や「IQ」「intelligence quotient」などで論文の検索をかけてみたのですが,どうもルービックキューブのパフォーマンスと知能指数との関連を検討した研究は見あたりませんでした。誰もやっていないのか,それとも関連が見られないから発表されていないのか,そもそも実証することができないような課題なのか……それはわかりません。

とにかく,証拠はなさそうだという結論です。

知能指数?

でも,いくら証拠がないとしても,なんとなく一般的に考えてルービックキューブを解くことは知能指数に関連しそうな印象があります。

その一方で,そもそも知能指数とは何かということを考えておくことも大切です。

知能指数の基本的な考え方は,精神年齢と実年齢との比率です。実年齢とは,暦における生まれてからの年数(月齢)です。そして,精神年齢とは,「何歳くらいの問題を解くことができるのか」という問題です。決して,「大人っぽい」とか「子どもっぽい」ということを表す言葉ではありません。

いや,ネットで検索するとこの後者の意味のページばかりヒットすることは知っています。でも,そもそも精神年齢というのは,子どもたちに認知的な課題を行ったときに,何歳くらいのパフォーマンスを示すかという指標です。「性格や態度や振る舞いの大人っぽさ」ではないのです。

このことについては,以前にも記事を書いたことがあります。

課題が年齢に伴うのか

知能検査というのは,基本的にその枠組みに従ってできています。つまり,「子どもよりも大人のほうがより多く確実に解くことができる問題」を集めるという枠組みです。

では,ルービックキューブはどうでしょうか?

少なくともいい大人である私は,6面を揃えることはできません(解説サイトや解説Youtube動画の助けなしには)。でも,あっという間に6面を揃えることができる子どもたちはたくさん存在しています。

たぶん,年齢に伴って徐々にパフォーマンスが上昇していくような課題じゃないと,知能指数とは高い相関を示さないのではないか,と想像するのです。ですから,きっとルービックキューブのようなパズルの場合,うまく関連が見いだせないのではないでしょうか。

熟達

もしかしたら知能指数の高さは,「よーいどん」で一斉にパズルをマスターしていくような,熟達スピードには関連するかもしれません。それは確かめてみても良いかもしれないなと思います。

とはいえ,ルービックキューブを揃えることは,やり方さえマスターすれば難しくないそうです。でもそこから,できるだけ素早く揃えたり,別の方法で揃えたり,自分の揃え方を編み出したり……と,より深い世界が待ち構えていると耳にしたことがあります。

これは,いわゆる知能のような知的な作業とはまた質の違う作業であるようにも思うのですよね。目標を追求する要素とか,そこから熟達する要素とか,それからずっとやり続けるような依存的な要素,などです。

パズルというのは,解けたら楽しい,スッキリする,達成感がある,といった要素が強く,それが報酬となって行動が生じるのではないでしょうか。「賢くなれるから」という動機づけは,純粋にパズルを楽しむこととはまた目的がズレてしまいそうだなと思いました。

ですので,ルービックキューブはルービックキューブとして,楽しむのが良いのではないでしょうか。何かをマスターするというのは,内発的な動機づけの重要な要素ですから。

時間があるときにまた,解説を見ながら6面を揃えるのにチャレンジしてみましょうかね。

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