私たちは食べたもので出来ているvol.9#113
皆様、おはようございます。
佐伯です。
毎週土曜日は食について様々な角度から検証していく連載を始めたいと思います。
私は仕事柄、様々な食品に関わることがあります。
一つの製品に生産者様やメーカー様のこだわりや信念など、様々な思いが込められております。
これが製品の美味しさや健康への配慮、地球への配慮など様々な面でも思いが反映されています。
話は少しそれますが、私はイチゴジャムやマーマレイドが大好きです。
たまに実家から食べるには酸っぱい小さなイチゴをたくさん貰います。
それを妻に渡すと時間がある時にお鍋で砂糖を入れてコトコト煮込み美味しい手作りジャムを作ってくれます。
このジャムがヨーグルトやトーストによく合い私の好物の一つです。
しかし、いつも季節のフルーツが手に入るわけでも無いですし、生で食べた方が美味しい場合もあります。
そういった場合は、市販のイチゴジャムを購入し食べています。
仕事が裏面のラベルを見ると中々見慣れない素材がたくさん表記されていることに気がつきました。
通常、イチゴジャムを作るときの材料はイチゴとグラニュー糖、そして最後に保存と味の調整、変色防止のためにレモン汁を入れて完成です。
必要な材料は3種類だけなのですが、市販のイチゴジャムにはたくさんの添加物が含まれていることがわかります。
今回はイチゴジャムに含まれている添加物を深掘りしてみたいと思います。
①どんなものが入っているのでしょうか?
まずは原材料に注目してください。
実はこの表記方法、配分量が多い順に表記することが定められています。
このことからわかるのは、市販のイチゴジャムはいちごの量が一番少ないのです。
これは、安価な糖類で増量しているという内容なのです。
また、変色防止のレモン汁もより安価なクエン酸で代用しています。
そしてこれだけではジャム特有のとろみは出ません。
そこでゲル化剤を投入しとろみを再現します。
最後に煮詰める作業ですが、実際にジャムを作ったことがある人はご存知かもしれませんが、とろ火でいちごを煮詰めるとお鍋の中心に泡が集まります。これを丁寧におたまですくって時間をかけて作ります。
しかし市販のイチゴジャムは言わば工業品です。
いちいちお玉で泡をすくっているとコストが掛かります。
そこで消泡剤という添加物を使用して泡を消すのです。
残念なが私たちがイメージするイチゴジャムと市販のイチゴジャムは似て非なるものなのです。
ですがどうしてメーカーさんがここまでの添加物を使用して安価に大量にイチゴジャムを製造するのでしょうか?
②需要と供給が商品の品質を決めている。
今度は経済学的な視点で掘り下げてみます。
需要とは欲しいと思う人のことで、供給とは売りたいと思う人のことです。
通常、価格とは需要と供給の交錯する点で決まります。
メーカーさんも当然、手間とコストをかけた方が美味しいイチゴジャムができることは知っています。
しかし、この場合は製造コスト高で一個当たりの値段が高くなります。
消費者の皆様の意識が「高くても安全で美味しいものが食べたい!」となっていれば高単価でも価格は均衡します。
しかし、実際には違います。
年々上がる社会保険料、生産性の低さから上がらない給与、こういった諸事情により昭和平成の時代に比べ令和時代の働く人々の手取り額は圧倒的に減少しています。
そのため消費者の皆様は生活を維持するため、より安価な製品を求めます。
この意思を汲んでメーカーさんは安価にイチゴジャムを再現できないかと試行錯誤するのです。
なぜなら、消費者の皆様がそれを望んでいることをリサーチして知っているからです。
そうして出来上がったのが上記の成分表のイチゴジャムです。
これは善悪で語れるものではありません。
大量の添加物が含まれており、アレルギー反応を引き起こす危険性もゼロではありません。
ですが、リスクを飲んででも安価な製品を求め続ける声がある限りメーカーさんは作り続けます。
敢えていうのであれば経済政策と金融政策の失敗がもたらしたツケを国民全体の健康を代償にし帳尻を合わせているのです。
よく「国民一人当たりの借金が」とマスコミは騒ぎますが、私は所得の減少に伴い自分で食べるものを選択でき無い状況こそ問題だと感じます。
③健康こそ最大の財産
食べるという行為は人間にとって最も根源的な行動です。
そして命を維持し健康を保つためにとても重要な行為です
私は添加物が悪いとは考えません。
保存期間を伸ばしたり、見た目や味を整えることは消費活動における重要な要因です。
私が問題だと感じているのは所得の増減で食べるものの選択肢が狭まり、結果として健康を害することです。
毎週土曜日のコラムではこのように食と健康の啓発活動に努めてまいりたいと思います。
それでは皆様、ご機嫌よう。
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