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基礎自治体の財政非常事態宣言について考える#013

おはようございます。佐伯です。
富山県は今日もとても良い天気です。
明日から3連休です。天気が続くと旅行や外での運動がとても気持ちよく楽しめて嬉しいですね。
さて、本日は、基礎自治体の財政破綻について元市役所職員の立場としてご説明したいかと思います。

①財政非常事態宣言とは

まずは上記の記事をご覧になってください。
まちづくりの専門家:木下斉さんが書かれた記事です。
この記事の中では財政非常事態宣言に至る理由、そして原因について深く言及されています。
実際に私が勤めていた市役所でも同様のことが起きました。
私は元市役所職員として実際に財政非常事態宣言になった場合、どのようなことが起きるのか具体的に説明したいと思います。

②補助金の減額・廃止

まず1つ目は、真っ先に削減対象になるのは補助金です。
私が勤めていた市役所では全ての補助金を精査することになりました。
その中で目的が不確かなもの、成果の上がらないものを中心に補助金を減額、または廃止することになりました。

しかし、問題点がありました。
それは減額または廃止の基準が非常に定性的であるということです。
本来、数値化しにくい行政の事業においては、事業目的の設定は非常に困難なものです。
そのため、補助金を創設する場合、大変注意深く要件や目的を設定する必要があります。
しかし、以前の放漫経営時代は補助金を配ることが目的になっていました。
そのため、申請者も補助金をもらうことが前提で事業をしておりました。
そのため補助金を減額、または廃止することを申請者に説明することは非常に反発が大きいことが多いです。
なぜなら、事業目的が曖昧で半ば既得権益化している場合が多いからです。
また、当時補助金を起案した職員は年齢を重ね管理職となっていることが多いです。
自分のした仕事が否定されたと感じ、補助の継続を担当課に言いにくる猛者もいます。
担当課は幹部職員からは減額または廃止するように迫られ、申請者と当時の担当者からは継続するよう迫られ非常に辛い立場に立たされること多くあります。

③住民サービスの低下

次に起こる問題は、住民サービスの低下です。
具体的には、コミュニティーバスや施設の廃止閉鎖です。
基本的には施設の建設を行う時、国または県から多額の補助金が基礎自治体に交付されます。
しかし、完成した後の管理運営については、全て基礎自治体が負担することになります。
昨今の原油価格、電気代、人件費の高騰は、当初予定していた運営コストはるかに上回るスピードです。
そのため、施設の事が難しくなり廃止することが多いにあります。

この場合、問題なのは3点あります。
1つは今まで無料または定額で使用していた住民の皆様に対し非常に説明が難しいと言う点です。特に無料で使用している方々にとっては既得権益化しており、強い反発があります。

2つ目は、その施設で働いている職員の解雇です。
基本的には外部の施設については、指定管理者と呼ばれる民間業者が地方公共団体に変わり、施設の管理運営をしています。
しかし、施設自体が廃止になった場合、そこで働く方々は働く場所を失うことになります。

3つ目は廃止になった施設の後始末です。
建物は作る時にもお金がかかりますが、壊す時にも同様に多額の費用がかかります。
そのため廃止したが解体する目処が立たず、放置されることがよくあります。

④若手職員の離職

最後に起きるのは基礎自治体で働く職員の給与が減額されることです。
これは実際に私の働いていた市役所で起きたことですが、管理職のみならず一般職も一律で2%から3%の減額になりました。
また、昇給時期の変更に伴い、昇給額を減らしたりなどもありました。
職位以上の負担を強いられ給与が下がり続ける現実に耐えられず転職する若手職員が続出しました。
そのため、以前には職員採用が年1回でしたが、想定を超える退職者数に業務が回らず、現在では通年採用が採用されました。

⑤まとめ

最後にまとめになりますが、今後基礎自治体の管理職はマネジメント能力が非常に問われる時代になってきます。
なぜなら、限られた予算の中で住民サービスの効用を最大化するための方法を常に模索する必要があります。
また、昨今の人手不足の中でも困難な事業を遂行するために優秀な人材を確保し続ける必要があります。
そのためには安定した生活が送れるだけの給与の確保と優秀な職員の能力に合う職場の提供が必要条件になります。
たとえ安定した生活を送れるだけの給与が確保できたとしても、現在のジョブローテーションでは優秀な職員の能力が発揮できる職場に配置されるとは限られません。
優秀な職員は、自らが優秀なことを知っています。そのため、組織に頼らずとも生きていけることを知っています。
このことから、優秀な若手職員は、次々と転職または独立していきます。

このことから、基礎自治体の首長・幹部職員の皆様においては、時代が変化していることを認識していただき、どうすればより良いサービスを提供できるか、今一度真剣に考えていただきたいと思います

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