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デザイナーなのに販売員になりきっていた話

こんにちは!
ジュエリーデザイナーをしております、タキガミです。

今回の記事を読むに当たって、わたしがどんな経緯でデザイナーになったのか、是非こちらの記事を読んでから、読み進めていただければ幸いです。

わたしはジュエリーづくりを始めて今年で7年目。
自分で作った作品を販売するに当たって、ずっと思っていることがあります。
ハンドメイド作家さんにも同じように思っている方も、少なからずいらっしゃるんじゃないかなと思います。

それはよく他人にも話すことなんですが、

今はプロとして自分が作ったジュエリーを買ってもらっていますが、
例えば、小学校の技術や美術の時間で作った木彫りの掛け時計や自分の右手を粘土で作った彫刻を、全然知らない人に「いいわね~これ!」と言われて、え!こんなわたしが作ったものでいいんですか?という感じで売っているような気分なんです。


わたしは元々ハンズ名古屋店(当時は東急ハンズ名古屋店)で手芸品やビーズを販売する仕事をしていました。
店頭で販売している商品を使ったサンプルを作ってみたり、接客する際に必要な技術としてある程度のスキルは身に着けていましたが、自分が作ったものを人様にお金をいただいて売る=プロ意識なるものは皆無でした。

仕事柄、プロの方たちと接することも多く、その仕事の姿勢や作品に対しての情熱などを間近で見ていると、ましてや自分がそんな方たちと同じように肩を並べるにはおこがましく思えたのです。

もし他人から「作り方を教えてほしい」と言われたら、当時のわたしなら無料で教えていたと思います。

ここでわたしが思っていたのは、自分には最低限のスキルしか備わっていない、センスやノウハウも皆無である。
ましてや専門学校で習ったわけでもないし、特別職人さんに秘伝の技を伝授されたわけでもない。
そんな自分は稚拙だと思っていたのでした。

だからこそ、自分が作ったものが小学生が作った授業の作品のようなレベルな気がして、
はじめの頃は恥ずかしくて恥ずかしくて、
自分がつくったんです、わたしがデザイナーですって口が裂けても言えませんでした。

何が恥ずかしいのかと言われると、見た人に否定されるのが怖いとかではないんです。
まぁそういう人もいますよね、と思えるんですが、むしろ褒められると恥ずかしくなっちゃうんですよね。

わたしの場合作ってるものがジュエリーなので、大抵わたしより年上の女性が「とってもいい」って言ってくださることが多いんです。

自分で販売していてもデザイナーと言わないで、あくまでも販売員に徹していた頃もありました。

いま思えば覚悟が足りなかったんだと思います。プロとして賛辞を受けることも、責任を感じることも、デザイナーとして振る舞うことも覚悟ができていなかったんだと思います。

覚悟を決めるのに、自分の中で自信をつける期間が必要でした。

自分に自信がなかったら、自分が作ったものにだってそんなに自信はつかないですよね。

自信ってどこからやってくるのだろう?

自信って不思議なものです。
わたしは何事にも割と自信があります。

高校受験で行きたい学校に受かったときも、
英語が全然できないのに留学に行ったときも、
青年の船の愛知県メンバーに選ばれたときも、
超氷河期だったのに就職できたときも、
自力でアメリカの学生ビザを取得したときも、
目標に向かって夢中で取り組んでいるときは、
その自分の行動力に自信がついてくるのでした。

ジュエリーを作り始めてから数年は明確な目標がなく、販売の仕事がくるたびにデザイナーに変身する、仕事がないときはアルバイトをする、みたいな生活だったので、
本当の自分が何なのか、何が本当にやりたいのか、よく分かっていなかったんだと思いますね。

自信がなくなる時は決まって、
誰かに怒られたり、失敗したり、くよくよしたり、
何事にも積極的になれず、もう自分はダメだと自己嫌悪になってしまうとき。

ジュエリーを作り続けていくうちに売れない時期がありました。
アルバイトで忙しく疲れてオーダー品が作れないときもたくさんありました。

そんなときは自分でどんなにがむしゃらに頑張ってもダメで、
わたしはこんなとき自分をとことん甘やかします。
美味しいものを食べて、買いたいものを買って、見たいものを見て、
とことん自分が求めているものを与え続けて仕事に向かわせる覚悟を決めさせるんです。

そんな日々を繰り返していくと、自信がなかった仕事も徐々に軌道にのり、少しずつお客様も増え、リピーターさんができてくると自分にも余裕と覚悟ができてきて、いつの間にかプロ意識なるものが形成されていました。

では今のわたしの自信はどこからやってくるのか、
それはズバリ!わたしの作品を買ってくれるお客様から
いつもチャージさせてもらっています。

有難いことに皆さん本当に褒め上手で、わたしの作品だけに及ばず、わたし自身に対しても多大なるお褒めの言葉を頂戴いたします。
あんなに昔は気恥しかったはずなのに、覚悟が決まると正直こんなにも自信がつく出来事って人生でなかったかもしれません。

社会人になってからは、面と向かって褒められることは減っていくし、
評価=お給金という構図のサラリーマンには辛い現実です。

いまのわたしは自分の作品が売れれば売れるほど自信がついてくるのです。
もちろん、たくさん売れば売るほど失敗事も増えるので、自信喪失案件数も必然と増えます。

しかしながら、今までの自分なら会社員として、自分の代わりに勤められる人がいるわけで。
その架空の比較対象者を羨んでいても何も皆生しません。

でも今のわたしは違います。
自分しか作れないものを作り、自分でしか伝えれない言葉で伝える。
これは一見難しい仕事のように思えますが、
これまでの自分の人生でインプットしてきたもの全てが
今の自分を支えてくれています。

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