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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・シズオカ

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2018年9月の記事一覧

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・シズオカ #6

「矢崎先生、次の方で最後です」

「はい、わかりました」

ナースの声に応え、私は電子カルテに記録するためにキーボードを叩いた。

この左手の指も随分となめらかに動くようになったものだ。軽快に、まるでピアノを弾くかのように文章を打つ。

私はサイボーグ脳機能外科医だ。

専門はもちろんサイボーグ脳機能外科。私自身、頭部及び頸部、胸部、右上腕以外の身体すべてをサイボーグ化したサイボーグでもある。

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・シズオカ #5

"副市長、謝罪会見にて抑揚のない声で平謝り"

"記者を恫喝!!「落涙機能を付けたらあんたは満足なのか」"

"ボディのマットブラック塗装に市民税金無断使用の疑い"

"ネクタイが悪趣味"

"第3世代K型の量産に伴い副市長の自我の存在意義が問われる"

……猥雑な言葉の羅列がSBC(静岡放送)ワイドショーのテロップで躍り続ける。

やはりテレビは低俗だ。サイボーグ及びアンドロイド差別にぎりぎり抵

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