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240119_労働の記録1

2024/01/19

賃労働をはじめて3ヶ月と半分。労働の記録をしようと思っていたのになかなか暇はなかった。

職場は同業者の中では時間的にホワイトなので、慣れない中でもなんとか働くことができている。元来仕事が遅いタイプで、それはひとえに怠惰な性格によるものだけど、この不勤勉さはいずれ僕の心と身体を守ることになると思う。

年末から続く風邪は一向に治らず、咳込んでいたら、ついに社長に怒られた。病院に行けと言われたのですぐに予約を入れて、診察を受ける。医者によれば、コロナでもインフルでもなく、ウイルスもすでになく、風邪で生じた炎症を治そうとして過敏に反応しているだけらしい。知ってた。同僚によると、すぐに病院に行くことではなく、休まず働き、かつ社長の前で咳き込まないようにすることが肝要らしい。

休まずに働くこと、病気は早く治すこと、リモートワークは許されないこと、ここでは各々異なる論理の命令が同じ身体から発せられる。町工場のようなところで(町工場で働いたことがないから想像だけれども)、みなが社長の方を向いていて、かつ誰も彼を見ていない。ダブルバインドが日常化しているので、矛盾した命令に対してどう振る舞うか、その歩調を合わせられる人が残っていく。

改めて考えると、僕はいつも自分とは考え方の異なる環境に身をおいて、かつ生存してきた。(実は僕もそちら側の人間なのかもしれない。)たぶんこの場所でも、ある程度の期間は働けてしまうだろう。それは実存と置かれた環境の間に一定の距離があること、そして実存と為す仕事の間に一定の距離があることが大きい。全てが少しずつ他人事で、その距離が緩衝材になっている。言うなれば心のどこかで、職場をキッザニアだと思っているのだけど、いつまでこの職業体験気分が許されるだろうか。

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