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【実質0円大学生活のすすめ】第13回:対面講義のメリット(2)

前回から、伝統的な「対面講義」について深堀りしています。今回は、ある講義を「対面」と「オンライン」の両方のフォーマットで受講した体験から感じたことを共有したいと思います。

1. 個人的な体験談から

個人的な経験からいえば「実質0円大学生活」として1科目だけ履修するなら「対面講義」をオススメします。というのは、コロナ前から継続的に聴講している、ある高名な先生の講義で感じたことがあるからです。

この講義は、毎年同じ形式で開講されています。毎回、1人の受講者が自分の研究テーマや興味・関心があることを発表し、まずは参加者でディスカッションをします。ある程度深まったところで、講師が専門的な見地から見解を述べて、更に議論を深めるというスタイルです。

コロナの流行以前は対面講義で行われ、コロナが猛威を奮っていた時期以降はzoomによるオンライン講義となっています。そして、この2つのフォーマットで受講してみて感じたのが「大きな情報密度の差」だったのです。

2. オンラインでは「失われるもの」がある

対面講義では板書による情報が「困難な概念」の理解を助けていました。ところが、オンライン講義ではその部分がすっぽり抜け落ちてしまったのです。

講師の先生のデジタル・リテラシーは標準的なものだったため、オンラインで板書に代わる手段が用いられることはありませんでした。まあ、先生に責任があるわけではなく、普通はそうなると思います。しかしその結果、以前の対面講義では当たり前であった、わかりやすい板書によって理解が深められる機会がなくなったのです。そして、その概念そのものの説明に触れられることなく、講義が進んでいってしまうことが多くなりました。

このような違いは、対面講義とオンライン講義の両方を受講したことがなければ気がつかないでしょう。ということは、オンライン環境しか知らなければ、密度の高い講義を逃していることに気づくこともありません。

3.「対面講義」を「1科目」が実質0円大学生活の履修スタイル

講師の先生の名誉のために繰り返しますが、多くの先生方のオンライン講義でも同じ現象が起きています。実は、大学のオンライン講義の運営はその講義を開講する講師に丸投げされていることが多く、準備の時間と手間が増えているのです。このような状況で、使い慣れないスタイラスペンやペンタブレットの導入を先生方に期待するのは現実的に無理でしょう。

そこで、「実質0円大学生活」の履修スタイルとしては、情報の密度低下のリスクが最も低い「対面講義」を、最小の授業料で受けられる「1科目」を取ることをオススメする、という結論になるわけです。

第13回のまとめ

1. 対面とオンラインで同じ講義を受けた個人的な体験談からも対面講義を勧めたい
2. オンライン講義では、受講者が気づかないうちに情報密度が低下することがある
3.このような情報密度の低下は大学・大学院でのオンライン講義運営の現状によって構造的に避けられない面がある。そのため「実質0円大学生活」では、対面講義の履修を推奨する


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