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【実質0円大学生活のすすめ】第43回:大学図書館を使いこなす(6):書店と図書館は何が違う?01

前回は、図書館を森のように散策する効果について触れました。今回からは、書店と図書館の違い、また、公共図書館と大学図書館の違いについて深堀りしてみます。

書店と図書館の違い

散策するだけであれば、街の書店でも良いのではないか?という意見もあるでしょう。ただし、一般書店と図書館は大きく異なる点があります。それは、並んでいる本の「良質さ」と「深さ」の多様性です。

「良質さ」とは、知的な探求者が読むべき価値のある本かどうか、という意味です。さらに、それがキチンとセレクトされて棚に並べられているかどうかも問題です。

書店は文化の殿堂であることは間違いないのですが、店舗である以上、営利活動を目的としています。本を売ることで経営が成り立たち、企業としてのサステナビリティが担保されるのです。そのため、「売れそうな本」は積極的に展開されます。店頭で平積みになったり、POPで販促されたりして、来店者の購買欲を刺激します。逆にいえば、「売れない本」は店頭から消されてしまうのです。

ここで、本に書かれている内容と売上が比例すれば、何も問題ありません。誰もが読むべき古典的な名作が飛ぶように売れるのであれば、常に書店の棚に補充され、いつ行っても立ち読みできることになります。こうなると、図書館は要らなくなるかもしれません。

良書は書店の店頭から駆逐される?

しかしながら、現実はそう単純な話ではないのです。時間の試練を経て常に読みつがれる、いわゆる「古典」と呼ばれるような本があります。このような古典が、書店でどのように扱われているかといえば、ほぼ注文取り寄せとなるはずです。

ほとんどの一般書店では棚に並べておいても、年に数冊しか売れないので置いてありません。注文して手に入れば、まだマシなほうでしょう。良書と呼ばれている本でも、気がつくと絶版になっていることはよくあります。あとは、古書店で偶然見つかるまで探すか、メルカリで検索条件を保存して通知を設定するくらいしかないのです。

今日のまとめ

- 書店と図書館では、並んでいる本の「良質さ」と「深さ」の多様性が異なる
- 「良質さ」は、知的な探求者が読むべき価値のある本かどうか、また、それがキチンとセレクトされて棚に並べられているによる
- 営利活動を目的としている書店では、売れない良書は駆逐される

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