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マンション

「もう少し残れる?」と聞かれ即座に返答した挙句、最寄りの最寄りまでの山手線終電に駆け込む羽目になった。
かつては闇市とギャングが居た街、池袋
終電のアナウンスが流れ緑の車両に人々が駆け込む時代も終わった。

悠々と一つ飛ばしに座り、車両は新宿、高田馬場へと進んでいった。
最寄りの最寄りである池袋に着き、おぼろげに階段を降りた。
改札を出ようとすると残高不足の改札音で目が覚めるほどにぼんやりしている。

有楽町線方面へと向かい

西口中央出口に出る。

はい、池袋ウエストゲートパーク登場
またまた小綺麗になって、煙草の吸い殻ひとつも落ちていない。
小走りで山手通り方面へと歩を進める。

それはそうと、西口(北)にはラブホ街が2つある。
ワールドホテル、アークロックがある東上線線路付近一帯と、カラオケパセラがある池袋2〜4丁目付近。
去年の中頃。
デリバリーヘルスのスタッフとして働いていた時店長から命じられ、ラブホテル探索、撮影をしレビューを書いていたのでやけに詳しくなった。

流石に駅出口周辺には人が少なく、タクシー待ちの列が10メートル近く伸びていた。

丁度劇場通りに差し掛かる時、
大きな荷物がポツリポツリと階段付近に中座していた。
よく見ると、白いシャツに黒いスラックスの男、
片手に持ったセブンイレブンの廉価版レモンサワーは階段を伝い道路に泡立った水溜りになっており、さながら放尿したかのようであった。

さらに5メートルほど歩を進める。
シャッターが降りたシネマ・ロサの前に座り込む地雷系ファッションの若者が2人、片手にはうちわを持ち券を握りしめながら談笑していた。

ドレッシーな格好にカーディガンを羽織りハイヒールを響かせたキャバクラ嬢の背中をみつつ謎の安堵をしながら数キロ先の自宅へと向かう。

この先をいくと、住宅街になる。
静けさを増したマンション群を眺めていると、
真隣に神社、1階にはコインランドリーという辺鄙な作りの「マンション」と書かれたそれにそぐわしくない外壁が剥がれたアパートが現れた。

その「マンション」の3階から暖色の光が漏れており、カーテンの隙間からは19インチのテレビが覗いていた。

5円を用意、いつものルーティンのように神社に手を合わせた。

どっと疲れが増した。

タクシーに駆け込み自宅へと帰宅した。

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