郷愁のオールドインペリアル・バー(帝国ホテル)
建て替えが決まった帝国ホテル。フランク・ロイド・ライトに会いたくなって、ささやかなお祝いごとにかこつけてオールドインペリアル・バーに行きました。 前に行ったのは思い出せないくらい大昔・・・どんな理由で行ったかも忘れてしまったけど、フランク・ロイド・ライト設計の旧本館の面影に浸ったことははっきり覚えています。
賑わいのあるロビーを抜け、中央階段をあがり、カーペットの敷き詰められた長い廊下を奥に歩いていくにつれ、時計の針がゆっくりと巻き戻っていくようでした。
お昼時はとっくに過ぎて、カウンターに常連らしい単身の男性と女性、他にはアジア系のビジネス客3人のみでした。
年月が刻み込まれた格式ある佇まいは鳥肌もの!
ゲストが求める距離感まで心得た、絶妙な接客も素晴らしかったです。敷居が高めな私にも心地よい極上のひと時でした。お洒落な外資系ホテルは都心にたくさん出来たけど、きっとこういう場所にはかなわない・・・
ホテルって、建物ともてなす側とゲストが一体となって、年月をかけて作り上げるものなんですね。 建て替えは寂しい。
開業100周年を記念して作られたカクテル「ティンカーベル」には、素敵なエピソードがあります。
ある老紳士に薦めたところ、メニューの裏にティンカーベルの絵をささっと描いてくれました。何を隠そう、この紳士こそディズニーのティンカーベルの生みの親Marc Davisさんだったのです。後日送って下さったというカラーのイラストがメニューカードと一緒に棚に飾ってありました。
ディズニーフアンが、わざわざ見にくるそうです。
私が好きなのは、支配人の伊藤多喜男氏が退職する数日前のエピソード。
白洲次郎が、伊藤氏とバーの前のソファに座って、お酒も飲まず長いこと話をして、店には入らず「ココはいいョ」と穏やかに言って帰ったそうです。
帝国ホテルを普段着のように着こなして似合う、カッコいい人だったんですね。
愛知県犬山市の明治村に移築された帝国ホテル中央玄関は、溜息がでるほど素晴らしいけれど、やはり展示物なんです。
オールドインペリアル・バーは気品ある生きた空間でした。
この雰囲気が残っているうちに、また訪ねたいです。
時空を旅した気分になったので、旅noteにアップしました~(*^_^*)