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舞台で表現する人へのリスペクトの話

学生時代のバイト中、舞台裏で歌舞伎俳優を目にする機会があった。
それまでもいろんなミュージシャンの舞台裏を見る機会はあったけど、
歌舞伎俳優のことは特に記憶に残っている。

まず発声に度肝を抜かれ、続けて、廊下ですれ違いざまにゴミを拾う所作の美しさに衝撃を受けた。
同じ人間でも体の使い方でこんなに違って見えるのか。

歩き方、声の発し方、スタッフに指示を出すときの仕草まで全てが圧倒的。
何ていうか、とてつもない訓練の積み重ねを感じさせる声と動きなのだ。

子どもの頃に読んでたジャンプで、めちゃくちゃ強い敵に出会ったときにブワッと相手の気迫を感じる描写があったけど、まさにそんなレベルで「よくわからんけど凄い!人生をかけて修行に打ち込んできたみたいな強さを感じる!」と思った。

その後仕事の手が空いた時に舞台を見学させてもらったのだけど、
将来の不安はありながらも怠惰に過ごしていた学生の私にとって、舞台に上がる人の覚悟とか気迫はインパクトが大きかった。
ついでに観劇しているお客さんの心の豊かさ、人生の豊かさみたいなものも感じて、あぁ私このままじゃダメだ、と、いてもたってもいられなくなったのを覚えている。

数年後、当時付き合い始めた彼の実家に初めて訪問した際、件の歌舞伎俳優のファンだという彼のお姉さんにその思い出話をする流れになった。
お姉さんは「そんなあなたをぜひ連れていきたい場所がある」と言い、後日兵庫県宝塚市の大劇場に連れて行ってもらうことになる。

宝塚の劇場は結局その一度しか行けていないのだけど、その時私は夢以上に夢みたいな世界に初めて触れ、謎に涙が出た。
これを見るために頑張って生きようと思う人、絶対いるだろうな。わかる。
と、勝手に想像し勝手に共感した。
うまく説明できないけど、「有難い」と心の中で手を合わせたくなった。

しょっちゅう舞台を観に行くような余裕はないし、
全然詳しくもないんだけど、
観劇って、人生で体験できてよかったなと思うことの一つではある。
行けるようになったらまた何かの舞台を観に行ってみたい。
自分の世界を飛び超えて、いろんな世界や魅力的な人物を見せてもらいたい。
すごい新キャラに出会うと主人公の世界が広がって成長できるってジャンプで学んで育ってるせいか、ついそう思ってしまう。

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