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道具の価値。

お世話になっている方から贈られた万年筆。

箱を開けると、そこには普段から使っているボールペンとは全く違う輝きを放っている筆が一振り。

一振りなどと書くと、まるで日本刀のように聞こえるが、私にとっては記念すべき人生初めての万年筆なので、敬意を込めてこの表現を使うことにする。

名だたる文豪も使用していた万年筆というものを手に取り、その独特のペン先にしばし目を奪われる。

カートリッジを差し込み、インクが滲み出てくるのを待つ。
まるでネルドリップのコーヒーを淹れている時のような、悠久の時が流れる。

焦っても焦らなくても、時は人の手によって操作できるものではない。改めて気づかされる一瞬。

さて、アトリエ・IMAではセラピーを受けられた方に領収書を発行することがあります。
ご相談者は個人の方がほとんどなので、あまり出る幕はないのですが、それでも常に一冊、仕事の際は持ち歩いています。

開業する時に、必要な文具の中に領収書がありました。税理士の先生は百均の領収書でいいよと仰ってくださいましたが、私はコクヨのものを購入しました。

値段は三倍ほどしますし、素人目にはそれほど違いがないように感じますが、それでも私はコクヨを選んだのです。

先の万年筆もそうですが、物には価値があります。目に見えない付加価値のようなものが。質の良いものを使っていればきっと質の良いお金の使い方になりますし、使い込むほどに味が出る。

もしかしたら人間性を高めるきっかけにさえなるかもしれませんね。実際に海外では腕時計で人を判断する方もいるくらい、持つものの価値は計り知れないものなのです。

人の価値を見た目では判断できません。
お話しをしてみて、声を聴き心の真髄に触れることで初めてその方の本当が見える。

私たちセラピストは、日々、そんなようなことに心血を注いでいます。もちろん、好きだからしていることなのですけどね。

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