私の保育は「放牧スタイル」?!
幼稚園に勤めていたときのこと。
園庭にアスレチックがあり、三角屋根の上に駆け登ろうとしている子たちが数人いました。
その中にもう少しで登頂できそうでできない男の子がいました。
私は近くに行ってお尻を支えて登らせてあげようとしたのです。
その時、園長先生に呼ばれてその場を離れました。
子どもの成長の機会を奪っている?!
私はよかれと思ってやったので、はじめは意味が分かりませんでした。
アスレチックの場所に戻るとさっきの男の子は、端の方から登ってみたり、真ん中をかけ登ったり、少し離れて友だちの様子を見たりしていました。
毎回成功する友だちがいて、その子を観察しているようでした。
すると何か閃いたようで「よし!」と声を上げてまたかけ登りました。
彼は見事にてっぺんに登ることができました。
彼がうれしそうに「登れた!!」と喜ぶ姿を見て気がついたのです。
あの笑顔は自分で登れたからこその喜びの表現だと。
自分で考える力
園長先生の言葉の意味が分かりました。
私は彼自身が自分で考えて、選択して、決めて、行動して……という過程を奪うところだったのです。
「生きる力」をつけたいと保育目標としてさんざん口にしてきたのに、全く逆のことをしていたことが分かり、恥ずかしかったのを覚えています。
この出来事があってから私の保育は「放牧スタイル」になりました。
徹底的に見守ることにしたのです。
助けが必要なときにはすぐに対応するスタイルです。
「助けて」「手伝って」という意思表示もできるようになって欲しかった。
私の思う「生きる力」
自分で選んで、決めて、行動する。
うまくいかなかったら工夫する。
それでもダメなら誰かに手伝ってもらう。
お互いに得意を活かして協力するのもいい。
私が思う「生きる力」はそんなイメージです。
彼らはもう成人しています。
どんな大人になっているかなと思いをはせるのも保育者の楽しみです。
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