「カラオケで100点を取っても歌が上手いと言い切れない。それは絵も同じな気がする。」ブルーピリオドを読んで思ったこと
こんにちはイラストレーターのコサカダイキです。
今回は漫画・アニメ「ブループリオド」を見ての感想を綴った記事になります。
【ブルーピリオド、面白い…】
2019年…ついこの間のように感じてますが、もう2年以上前の出来事なんですね。
この時ツイッターで見た山口つばささんの「ブルーピリオド」の読み切り。いやー衝撃をうけましたね!同じような衝撃を「バクマン。」でも受けてました。
僕は今はプロのイラストレーターとして活動していますが、いわゆる絵の道とされるような道を辿っているわけではないんです。高校卒業後は絵とは全く無縁の一般企業に就職し、なんだかんだあって独学でフリーランスイラストレーターになっているんです。
読みにくいかも知れませんがその辺りの詳しい話はこちらの記事に書いています。
僕が受けた衝撃というのは、進路を考える際に当時も絵の道には進みたかったのですが今と比べると変に冷静で「絵で食っていくって無謀だよな」と思ってしまい普通に働くために工業高校に進んだのです。その時、絵の道に進むことへの憧れはあったので「ブルーピリオド」「バクマン。」は当時の自分のような考えを持った主人公が絵の道に進む話で、自分も本当は絵の道に進みたかったんだっ…と当時の記憶が蘇るような衝撃を受けたのです。
別に少し遠回りはしましたがイラストレーターという絵の仕事をできているので後悔などはないのですが、給料も良く地元では大きな企業をやめて絵の道に進んだのは今考えると頭のネジ何個外れてたんだよと思いますね(笑)
そう思うと今でもその会社で働いてる未来もあったんじゃないかと思います。その成り方だったからこその今の自分もある気はするのですが、漫画の主人公たちのような形だったらどんな絵描きになってたなのかな?とか、青春をもっと絵に捧げたかったなって思うんですよね。
だからめちゃくちゃ入り込んでしまう漫画たちです!
【カラオケで100点を取っても歌が上手いと言い切れない。それは絵も同じな気がする。】
ブルーピリオドの感想だろ?なんだこのタイトルは!?と思われてると思いますので触れていきます。
ブルーピリオドを読んでというか自分のコンプレックスでもあるのですが、自分の描く絵は「技術の高いだけの絵」だと思っています。いや、世の中にはもっと技術の優れた絵もありますけどね(笑)
漫画の模写ばかりをしていたので、模写する能力だけでここまできたんです。美大や専門学校に通ってないですし、美術をよくわからないまま絵を描くのが好きってだけでイラストレーターになりました。それも価値のあることだとは思うんですが、やっぱり漫画家さんをはじめ模写とは違う完全オリジナルでクオリティーの高いものをつくられる方々を目の当たりにすると今の自分にはできないのでめちゃくちゃ凹むんです…。
それこそブルーピリオドも東京藝大に入るにあたって見て描く以外の技法で技術を高めてるじゃないですか?その葛藤を見てると「今の自分だ」と思うわけなんです。
ここで自分のコンプレックスをわかりやすく表現した文字がカラオケで100点を取っても歌が上手いと言い切れない。になるんです。
みたものを忠実に再現するというのは、それも技術がいることですし絵が上手いと言われる一つの要因だと思います。でもこれは個人的な意見なのですが、上手いけど面白くはないよなって思うんです。
別にイラストレーターとしてなんとか食っていけてるし良いじゃないかと思うんですが、その技術だけを磨いても長くは続かないなって思ってるんです。やっぱり脚光を浴びてるようなイラストレーターさん、いやもうその域を超えてるアーティストと言っても過言ではない人たちの絵はその人にしか描けない絵なんです。僕はそこを目指したいからこそ悩んでいるんですね。
歌も同じでカラオケで100点をだせるからって必ずしも人の心を動かすとは限らないですし、カラオケで100点を出せなくてもすごい人たちはたくさんいます。
カラオケで100点を出すのもすごい技術が必要なのですが芸術ってそれだけじゃないよなってことが今回の記事のテーマです。
【第74回山口県美術展覧会でなぜ佳作がとれたのか】
今もアートに対して頭を抱えていますが去年の山口県美術展覧会で佳作をいただくことができたんです。
タイトル
虚勢「あーだこーだ、なんやかんや、」
正直なぜとれたのかわかっていませんでした(笑)
この絵は第73回山口県美術展覧会に応募した作品です。これはかすりもしませんでした。
「これじゃダメだからひねらないとなー」とは思って上の作品が生まれたのですが、何が良かったのかは気づけていませんでした。
ですが、ブルーピリオドを読むことで美術について簡単に触れられ全く美大受験などをしてこなかった自分にはとても勉強になることがありましたね。
振り返ってみると意外とイラストレーターとして葛藤しているうちに主人公の八虎と同じような苦労は乗り越えてたりで、間違ったことはしてなかったんだなと気づけました。
八虎が東京藝大に受かるところまでしか見れてませんが、そこまでを見ててなぜ自分が賞をいただけたのか少し分かった気がしますね。
八虎も見て描くことは得意だがそこから捻った作品を作ることに苦戦していて、もがきながらもその中で奇跡的に生まれる素晴らしい作品で困難を脱していくんです。
なんか自分が初めて応募した作品は技術で言えば上手い作品なのかもしれませんが面白くはないなと自分でも思ったんです。それに比べ賞をいただけた作品は自分の得意とする技術を使いながらも、そこに一工夫加え自分にしか描けない絵を描けたかなって思ったんです。
【ブルーピリオドからプロのイラストレーターが得られるもの】
自分のやっていることを客観的にとらえるって簡単なことではないので漫画「ブルーピリオド」を読むことで自分を俯瞰して観れるなと思いました。
別に美大に通ったわけでもなく独学でプロになったのでこの漫画がどれだけ美術に対して忠実かはわかりませんが美術に対して面白いなと思える漫画だと思います。
この漫画を読むことで僕は勉強になるなと思いました。一般的な勉強は教科書をもとにそれを覚えるのが勉強と言われるのかも知れませんが正直全く面白くないですよね(笑)興味があることに対して教科書をみるのはとても良いことだと思うのですがあのスタイルで苦手意識がついてしまうと自分から勉強したいって思えないと思うんですよね。
僕が勉強だと感じていなかったけど漫画を通して自分は自然とイラストレーターとして成功するために努力していることが絵を上手くさせるためのことに繋がってたんだなと気付かされました。
色々理由はつけられますが純粋にこの漫画は面白いです!
漫画にハマり美術に興味が出ればおのずと絵をうまくなるために努力も楽しくできると思うんです。楽しいと勉強も勉強と感じなくなりますし、どんどん成長します。
僕はこれからも「ブルーピリオド」は読んでいこうと思いますし、ここから先はまだ知らない美術の世界について触れられると思うので楽しみにしています!
さー1巻が無料公開されてるので読もう!そしてハマった人は漫画を買おう!
コサカは紙の漫画で育ったのでできれば紙で読んでほしいなと思います!
【おまけ】
最後になんとなく思いついたことがあるので綴っておきます
美大は同年代の作品を見たり、横のつながりができたりする場所、そして美大受験での予備校などでも同じ目標に向かってる人たちから刺激を受けれる。
https://twitter.com/atelier_kosaka/status/1509538678313349127?s=20&t=kq0824pJxepnHvNNO7vHxA
これってめちゃくちゃ大事なことだなって思いました。
一人でずっと成長していくのってなかなかできることではないですし、やっぱり周りの上手い人の作品を見てショックを受けたりで自分を奮い立たせ葛藤することが成長に繋がるんだろうなと思うんです。
七転八倒じゃないですけど、落ちたところから這い上がってきた時の伸びってえげつないと思うんです。僕が県美展で賞を取れたのも自分の中の基準が落とされたことで変化したからだと思うんです。
あとはイラストレーターとして活躍されてる人が身近にいますし、イラストレーターじゃなくても作家として活躍されてる人もいて僕はどちらも挑戦しているジャンルなどで両方から多大な刺激を与えてもらってます。
美大に行ってないコンプレックスって独学の人はみんな持ってると思いますが、そこで獲れるものも他のもので置き換えれるんだなと思いました。美大でしか補えない部分などもあると思うので一概に行かなくても良いじゃんとは言えませんけどね。
美術、アート、絵画、イラスト、クリエイティブって奥が深くて最高に楽しいですね!!!
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