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古のジパングを夢見て 『イヴ・クラインと和倉温泉』 ②

金沢21世紀美術館で作品を見終えてそこから和倉温泉駅まで電車で行って、ホテルに到着したのが夜19時くらいでした。

土地がたくさんあるからなのか、宿泊したホテルはやたら広くて豪華で、しばし竜宮城に来たような気持ちになりました。

夕食をとりやたら広いホテルのラウンジでコーヒーを飲みながらくつろいでいると、ラウンジでは地元の有権者らしきおじさんたちが永遠に癌と葬式と眼球につける人工レンズの話をしていました(笑)

おじさんたちが奥で話し合っています。

到着時刻が遅かったためか窓の外の景色は真っ暗で何も見えなかったのですが、翌日朝起きてラウンジから見た外の景色は『ここはタヒチか!?』というくらい透き通った海が眼前に広がっていました。

朝起きてホテルのベランダから見た海はあまりにも綺麗で、本当に生きててよかったと思いました。ここはこの世の別天地というか、もぉ完全にイヴ・クラインのことは昔のあんま好きじゃなかった学校の担任の先生並みに頭からすっ飛んでいました。別にイヴ・クラインが嫌いなわけじゃないですけど(笑)

ホテルの目の前の桟橋

今回の目的はイヴ・クライン展を見ることと併せて能登半島からさらに独立している能登島という島に行くことでした。そこに何があるのか全く知らなかったのですが、なんとなく昔から島とか半島というのはちょっと本島からはみ出していていて、そこに自分の知らない何かがあるんじゃないか!?という気持ちが湧いて何故か異常に行きたくなります。

当初の予定では金沢駅で下車したら21世紀美術館に行って『イヴ・クライン展』を見て、その後隣の兼六園を散歩して、城下町で日本料理を食べて帰りに古都のおしゃれなバーで飲んでスマートに新幹線で帰るつもりでした。

しかし実際は兼六園は行かないし、城下町にもバーにも行かず、とにかくあのジパングという響きに呼応するようなワクワク感を醸し出す能登半島という名の半島、そしてその先にある『能登島』そればかりが気になっていました。

あの道路の先が能登島です。

ちなみに金沢は魚のノドグロが有名ですがお客さんから別に能登まで行かなくてもノドグロは美味しいよーと言われていて、私も当初は能登半島にまで行く予定はなありませんでしたが、いざ能登島の画像を見たら是が非でも行ってみたくなりました。

金沢駅からはかなり距離も遠くなるため移動費もかさみ、ホテルもきれいでいいとこがいいなーなんて考えていたら予算もどんどん膨れ上がっていきました。しかしそれに比例して期待もどんどん膨らみます。

Time is money.
時は金なり。
But sometimes money can be a wonderful experience.
しかし、時に金は素晴らしい経験にもなりうる。

泊まったホテルのラウンジからの早朝の景色はこんな感じでした。
朝食のバイキングで出てたのですが、ノドグロってこんな食べ放題みたいになるもんなんですね(笑)

ホテルのベランダから目の前の海にかかっている桟橋まで歩いて行くことができ、そこから海を見つめて鈴を一人で鳴らして遊んでいたら、完全にバスの時刻を間違えて、1時間以上歩いていくつか先のバス停(というか島)まで歩く羽目になりました。

バスが行ってしまった事をこの時の私はまだ知らず、一人能天気にガンガン鈴を鳴らしていました。

時は金なり。
Time is money.
お金じゃ買えない価値がある=MasterCard

MasterCard持ってますけど、バスは時を待ってくれませんでした(泣)

この道路を渡ると島につきます。

島につくと道中イヴ・クラインの作品みたいのが色々ありました。

『次止まります』以前にまず時計が止まっています(笑)

中にベンチとかあんのかと思ったら、
何にもなくて、イヴ・クラインの『空虚展』を地で行く感じでした(笑)

クラインは1958年、通称「空虚」展(正式名称:「第一物質の状態における感性を絵画的感性へと安定させる特殊化」展)を開催する。画廊の外側の壁を全て青く塗るいっぽうで、部屋中の家具を取り除き、48時間かけて室内を真っ白に塗り上げた。観客はこの空っぽの展覧会に驚愕したが、クラインにとってこの部屋は空っぽなのではなく、部屋の外の青が非物質化され充満している空間なのである。この展覧会を訪れた小説家のアルベール・カミュは、芳名録に「空虚に満たされた力」と記している。

空虚というか『やるせなさ』が充満していました(笑)

字の見えなさ具合からしても、もはや観光客を呼び込む気が全くなさそうなところに島国根性丸出し、鎖国・無観客上等なユルさとやる気のなさが垣間見えます(笑)

『出口』のテープのカットの徹底されなさ具合が絶妙です。

『ご自由に』『つかわないで』『wear(命令形)』

もはや美術館の小洒落た現代アートなんかが霞むような強烈で複雑なメッセージ性を感じます。

島について最初の停留所から路線図を見ると『能登島水族館』というところが最終地点らしく、行ったことも調べもしていなかったのですが、とりあえず一番奥地まで行ってみたかったのでそこを目指しました。

何かの雑誌で『カップルで訪れたいデートスポットベスト何何』みたいなものにいつも水族館がかなり上位に入っている気がするのですが(別に私がそういう雑誌を定期的に読んでいる訳でも年齢でもないのですが )普通に一人で行ってきました。基本私のブログには私以外登場しません。

なぜか美術館よりも能登半島のさらに先の孤島の最奥地にある水族館の方がクラインブルーを強く感じさせられました(笑)

その後一人でイルカ&アシカショーを見たりして、このイルカとアシカの方がよっぽど俺より仕事してる…とか思いました(笑)

あとどうでもいいですが、そこにいたごまアザラシがめちゃくちゃかわいかったです。

私の年齢くらいになると周りの人は一段と仕事が忙しくなったり、家庭を持ったり子育てなどが大変なようで、誰も構ってくれなくなってきたので仕方なく最後は魚に構ってもらいました。

危うく売り物だったら買いそうになっておりました。

今流行りのプロジェクションマッピングで照らされてて、すごい綺麗だったんですけど、勝手に照らされてて魚たちにバイト代を払ってあげたいくらいでした。

どこにでもいるんですよね。みんなが頑張っているのに、最後まで一向に動かない人って。2周くらい回って戻ってきても微動だにしておらず、本当に動きたくないんだなーと思いました(笑)

最後に水族館を出て、バスが来るまでの時間ぼーっと海を見ていたらイルカが寄ってきてなんか『お互い大変だな』みたいな顔をされました(笑)

想像以上に長時間滞在してその後最後の目的地金沢ガラス美術館に行きました。金沢はガラス工芸が有名でそれを打ち出すために建てられたそうです。なんか急にSFチックな外観の建物がポツンと山の上に現れてそれが面白かったです。

中は撮影禁止でしたが、外には屋外ガラス作品が結構あったので紹介します。

俺のことか?

<Stand Alone By Myself>

と、思いました(笑)

なんかガラスに喧嘩売ってる人みたいですね。

『舐めてんのか?お?やんのかガラス野郎?コラ?』って。

痛い大人ですね。

<Stand alone 2 >  かと思いました(笑)

実際のタイトルは、

だそうです。

<Stand Alone 3 ・最終形態>

ではありません(笑)

どんどん変身するパワーインフレの漫画のボスキャラみたいになっていますが(笑)

が、タイトルです。

私のこの旅(Eternal Travel)も今日でおしまいです。

悠久というよりはただの悠々自適な相変わらずアート要素やたら少ない旅でしたが(笑)

遊んでました。ずっと。

一人で。

治外封建の島国でいけない葉っぱ吸ってラリった人みたいになってますが…朝ご飯食べすぎて眠くなっているだけです、マジで。
美術館の下にあった軽食屋にて。

最後に金沢駅でアトリエやお世話になっている方向けにお土産を買ったりしたのですが、なんかやたら酒屋ではこのシールが目立ちました。

思ったんですが、

『幻の酒』と『限定品』…

多すぎじゃないですか?(笑)

もはや限定品じゃない商品の方が限定されているという謎のパラドックスが店内の至るところで起こっていました(笑)

あと関係ないですが展覧会のチラシとかポスターを見てると『伝説の画家』『幻の名画』も多すぎる気がします(笑)

最初と最後が缶ビールの写真で、変わったことは最後は疲れてきたのでもぉ糖質オフとか気にしなくなったことと、ちょっとだけお酒のグレードが上がったということです。

一人でイルカショーを見て、お酒を飲んで彷徨って、どこを目指してるのかわからない悠久の旅を続けて気づいたらこんな感じになっていました、、、

誰よりも幸せだから
意味もなく悲しみまでが
長い坂の絵のフレーム

井上陽水『長い坂の絵のフレーム』

って、井上陽水の歌を口ずさみながら、経費で落とせそうな要素がほぼない旅をこうして終えました。

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