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京都の話2。アレックス・カッツ 『僕が個展を開いている場所』
京セラ美術館へ行く前に駅を降りてすぐの場所にあった川が綺麗だったので眺めていたら、その横に妙な看板を発見しました。
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明智光秀の塚…!?
塚ってなんだ!?
メチャクチャ気になって京セラ美術館はすっ飛ばして塚が見に行きたくなり即座に見に行くことにしました。そして歩いて数分ほどですぐに目的の場所に到着しました。
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え?ここっすか?なんか説明読んだら明智光秀の首が埋まってる的なこと書いてあるんですけど…
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現在北野武監督の映画『首』が公開されていて明智光秀は相当重要な役で出ていましたが、その光秀の首がこんな感じのとこにあるの!?とかなり面食らいました。
活けてる花が全部造花だったり、注意書きが手書きだったり、その紙が雨で濡れてシワシワになっててもとりかえなかったり…なんかいいなぁ、と思いました。
帰り間際とか停めるとこないからって普通に出前のバイクとか停まってたし(笑)
そんな塚の余韻に浸っていたら今度はさらにここから徒歩圏内に知恩院があるという看板を見つけました。
え?ここから知恩院行けるの?行きたい!となり、全く行く予定はなかったのですがもぉ京セラ美術館とかさらにどうでもよくなってあれよあれよと知恩院の方に流れていきました。
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思いがけず初冬の紅葉を観ることができ普通に紅葉狩りに来たような気持ちで満足してしまいました。
塚と知恩院を見たことでもぉ良いかな今日は状態だったのですが、一応仕事も兼ねて来ているのでその後京セラ美術館を足速にみて『アレックス・カッツ展』に向かいました。
京都御所のほど近くの住宅地の中に『有斐斎弘道館』(ゆうひさい こうどうかん)という数寄屋作りの建物があります。
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本人たっての希望で今展覧会はこの場所で行われていました。
有斐斎弘道館は、江戸中期の京都を代表する儒者・皆川淇園(みながわきえん / 1734年~1807年)が創設した学問所「弘道館」址に建てられた数寄屋建築の文化施設です。
淇園は「開物学」という独自で難解な学問を創始しましたが、詩文や書画にも優れた風流人で、山水画は円山応挙に劣らずと評されたほどでした。門弟3千人とも言われ、多くの文化人と親交を結びました。
有斐斎弘道館は、建造物ならびに庭園を保存するとともに、江戸時代の教養文化を再考し、現代における学問所として、活動を続けています。
ちなみに個展の候補地は京都内に他にもいくつかあったらしいですが、ここ以外は見向きもしなかったそうです。
塚もそうでしたが唐突にすごい歴史のある建物が住宅地の中に突然現れます。
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え?ここ?(本日2回目)みたいに、普通に家とマンションの間に当会場はありました。電車の中でおじさんと運動部のマッチョに挟まれた小学生みたいにちょこんとした感じで鎮座してます。
で、入り口からしてディープな雰囲気がものすごい漂っています。
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なんかただならぬ雰囲気でしょ…?
効果音で言ったらゴゴゴゴゴゴ…(太字)ですね。
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で、入ってみたら…
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受付からして夜な夜な『特定指定外来種を囲う会』みたいな怪しい集いが行われていそうな雰囲気でした。
靴を脱いで中の方へ入って行くといくつかの部屋に区切られています。
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細い通路を抜けていくと…
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急に開けた大きなお部屋につながっており、そこにはすでに鑑賞者が数名。(海外の方もいました)
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なぜか作品を鑑賞するときは正座で見たくなるような場所でした。
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ほぼ全ての作品がA4サイズより少し大きいというくらいのサイズで、一つ一つがとてもやさしいタッチで描かれています。『脱力の極み、ここに極まれり』みたいな卒寿(90歳)超えの集大成感が半端なかったです。
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作品も会場も主張しすぎず、もぉここ住みたいとか思ってしまいました。
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会場までの道のりも屋敷内の通路も秘密の隠れ家的な雰囲気が半端なく、アレックス・カッツはもちろん良いのですが個人的にはこの建物が何より気に入ってしまいました。これはカッツさんがたっての希望で個展を開きたくなるのもよくわかります。
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ちなみにアレックス・カッツが世に出始めたのは1950年代のことでした。まさに世は抽象絵画全盛の時代でした。しかし彼は一切抽象画には興味を示さず現在に至るまで具象一筋です。
またアレックス・カッツが絵画において最も重視しているのは「スタイル」らしく「スタイルのない絵はただの工芸品」とまで言っています。
当時の抽象画界の大巨匠ウィレム•デ・クーニングが自分は『スタイルの上にあぐらをかくのは嫌だ』と言っても、
「まったくの戯言!」
と一蹴したらしいです。
新人なのに(笑)
なお今でこそ有名なアレックス・カッツですが実は世に作品を発表して以降長い間あまり認知されなかったり評価も芳しくなかったようです。その理由について本人は、
「作品が新しすぎたからだろう」
と言っています(笑)
すいませんでした!!
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50年以上前から巨匠に対して『戯言』とか平気で言っているような人なので、頑固ジジイは昔から頑固だったということがよく分かるエピソードでしたが、作品自体はとても穏やかで鑑賞者に対して圧がかかかるようなこともなく心地よい空間でした。
いやぁ、カッツ、良い仕事したよ!!パーンッ!(クラッカー音)
…と言いたくなるような素敵な展覧会でした。
ようやく時代が彼に追い付いたところで話はさらに続きます。
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